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国家主導で投資が進む中国、そして日本は?

世界で始まったスマートグリッド実現競争《後編》

2010年11月1日(月)

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 日本のスマートグリッド関連ビジネスの方々とお話をすると、中国市場への強い関心が伺える。中国は既に世界第2の電力市場であり、今後も経済成長に伴って急拡大が見込める。中国の1人当たり消費電力量は、日本の4分の1程度であるが、これが2倍になっただけで1位のアメリカを大きく追い抜いてしまう(図1)。有力なIT(情報技術)企業がひしめくアメリカ市場よりも、成熟した欧州市場よりも、爆発的に拡大する中国市場のほうが魅力的に映るのは理解できる。

国家主導で“Strong & Smart Grid”の中国

 そして中国でも、「智能電網」(中国語で「スマートグリッド」)は大きな注目を集めている。まず、計画停電が必要なほど脆弱な供給体制を、経済成長を上回る速度で拡充する必要がある。そのためには、発電設備を抜本的に増強する一方で、送電網を整備しなければならない。一方で、中国では大気汚染が深刻化しているが、現状では発電量の80%以上が石炭火力であり、再生可能エネルギーは0.27%に過ぎない(「主導権を狙うアメリカ、したたかに便益を求める欧州」掲載の図1を参照)。

 このため地球温暖化対策だけでなく、国内対策として再生可能エネルギーを大量導入する必要があり、2020年には15%を目指すという。そして風力や太陽光による分散型発電の適地は北部や西部であるため、主要需要地である沿海地域へ「西電東送」するためにも、送電網の強化が不可欠となる。

 そのため、中国の電力関係者がスマートグリッドを説明する際には、“Strong & Smart Grid”と呼ぶ。質的にスマートにすることも重要だが、そもそも量的に送電網を飛躍的に強化しなければならないという認識なのだろう。日本で導入済みの配電自動化などもこれからであり、アメリカで盛り上がっているAMI(Advanced Metering Infrastructure)への投資による需要者の能動化の以前の段階との指摘もある。

 だからこそ、電力網を「強化及び智能」化するために、中国政府は2020年までに4兆元(約50兆円)という巨費を投資するという。中国でも2002年から発電と送電のアンバンドルがなされ、発電分野は民間や外資にも開放しているが、送電分野は2社独占となっている。その内、国家電網公司は、南部を除く国土の88%を網羅し、1億2800万名の顧客を抱える、世界最大の電力会社である。この国営送電会社が、上記の投資を実際に行うと見られ、中国におけるスマートグリッド関連の標準化も担当するという。

 上海万博(上海国際博覧会)でも、国家電網は独自に4000平方メートルのパビリオンを設け、スマートメーターなどの展示を行っているほか、万博会場内の複数の太陽光発電なども含む電力需給情報を把握し、EV(電気自動車)も接続して系統制御の実験を行っているという。また中国各地では、国家政府の号令の下、実証実験であるエコシティの開発が進められており、天津のプロジェクトには日立製作所も参加している。

 このように中国のスマートグリッドへの取り組みは、国家主導と呼ぶことができるだろう。ご存じの通り、中国は共産党一党独裁の政治体制であるため、その実行力は侮れない。アメリカは市場主導、欧州は政府と電力会社などの社会的協調が特徴的だったが、中国では利潤を度外視した絶対的な投資主体が君臨し、スマートグリッドを推進することになる。市場メカニズムも社会的合意も通用しない恐れがある環境の中で、外国企業は翻弄されるかもしれない。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師