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「マルチリンガリズム」政策を推し進めるEU

外国語の習得が域内の経済発展や文化交流を促す

  • 河合 江理子

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2010年10月26日(火)

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 最近の大陸ヨーロッパでの英語の浸透は目を見張るものがあるのは、本コラム初回(「英語に“敵対”していたフランスでも逆らえない」で触れた。つい最近もパリに行く機会があったが、レストランやショップで若い従業員たちがある程度の英語を話すようになっている。 フランス語のアクセントは強いが、意志の疎通には全く問題はない。

 また私が15年前赴任していたポーランドでは、片言でもポーランド語を話さないと生活ができないという状態だった。英語よりロシア語のほうが通じたと思う。ところが、今では人口の30%が英語を話す。実際、米ニュース専門局「CNN」などで流れるポーランド投資誘致のコマーシャルでは、「ほとんどの若者がマルチリンガルである」ことを強調している。 

小国ほど外国語習得率が高い

 「EU(欧州連合)発足が、英語の公用語化のきっかけ」と初回に書いた。そこで、EU諸国ではどのような語学教育政策が行われているのか、気になって調べてみた。EUには「母国語以外に最低2カ国語を習得」という政策「Multilingualism(マルチリンガリズム)」がある。EUは、英語公用語化というよりも、域内の交流を図るためにマルチリンガル育成を目指している。

 4億5000万人の人口を抱えるEUには、23もの公用語がある。

英語 フランス語 ドイツ語 チェコ語
デンマーク語 オランダ語 エストニア語 フィンランド語
ギリシア語 ハンガリー語 イタリア語 ラトビア語
リトアニア語 マルタ語 ポーランド語 ポルトガル語
スロバキア語 スロベニア語 スペイン語 スウェーデン語
アイルランド語 ブルガリア語 ルーマニア語    

 23の公用語から、たった1つの言語を選び出して公用語化することはできない。このEU諸国の人々が、文化交流をはじめとして仕事や学業そして旅行などでの機会や便宜を発展させるため、この「最低2カ国の外国語」政策が始まった。マルチリンガルであることは、EUの政治そして経済にとって非常に重要だと考えられている。その中で、英語は最も多くの人が使える人気のある外国語であり、共通語として使われているというわけだ。

 欧州委員会が2006年に発行した調査書“Eurobarometer 243”にある「ヨーロピアンと言語」によれば、2001年には母国語以外の言葉を1つ以上話せるという人は47%だったが、2005年には56%に増えている。最近ではこの数字はもっと高くなっているはずだ。

 現在、母国語以外に2カ国語以上話せるという欧州人は、全体では28%とまだ低い。しかし、ルクセンブルグでは92%、オランダでは75%、そしてスロベニアでは71%が2カ国以上の外国語を話せるという高い数字が出ている。こういう国は、小国で貿易などの国際的なビジネスが経済に不可欠であることが共通している。私の住んでいるスイスも同じような理由で2カ国以上の外国語を話す人が多い。実際、小さな子供や老人以外はどんな職業の人でも英語を話すオランダでは、英語も公用語にしようという動きもあったくらい、英語が浸透している。

 これに対し、外国語習得率が低いのは、英語が母国語であるイギリスとアイルランド。両国とも外国語は中学で必須科目であるにもかかわらず、外国語が1カ国語以上できるという人はそれぞれ38%、34%とEU平均の56%を大きく下回っている。英語でビジネスも旅行もできるので他の言語を習う必要がないと考える人が多く、外国語習得のモチベーションが低いのだろう。

 またイタリア、スペイン、ドイツ、フランスも外国語修得者数は30%台と低い。国が大きいため、国境をまたいだビジネスや旅行に出る必要性が少ないというのが背景にある。フランス人は、夏は地中海で海水浴を楽しみ、冬はアルプスでスキーを楽しむ。「歴史的町並みも、教会も、城も、グルメ料理も、すべてフランスにあるから、外国に行く必要がない」と豪語しているフランス人もいるぐらいだ。

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