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新防衛大綱が示すべき5つの基本(中編)

わが国を防衛する固い決意と10年先の国際情勢をにらんだ防衛の基本方針

  • 古澤 忠彦

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2010年11月4日(木)

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 菅直人内閣は、年末までに新しい防衛大綱を閣議決定する予定だ。防衛大綱は、日本の中期(5~10年)の安全保障政策の指針を示す重要な文書である。本来なら昨秋、改定する予定の文書だったが、政権に就いたばかりの民主党が1年延期した。
 このコラムでは、外交官や自衛隊のOB、国際政治学者などの専門家が考える防衛大綱の「私案」を紹介する。日本は、集団的自衛権の行使を今後も 禁止し続けるべきなのか? 非核三原則、武器輸出三原則などの「原則」を今後も維持し続けるべきなのか? 日米同盟はいまのままでよいのか? 米軍基地は 日本に必要なのか?
 安全保障政策に関する議論は、これまでタブー視されてきた。しかし、本来はみなで議論し決めていくものである。このコラムで紹介する私案は、ビジネスパーソンが自分のこととして安全保障政策を考える際の座標軸づくりに役立つはずだ。

第6回は、元海将の古澤忠彦氏だ。

前編はこちら

武器使用に関する制限の緩和と、不必要な武力行使を回避するためのROEが必要

 第6として、武器使用と武力行使の基準について述べる。自衛隊が行動するときの武器使用および武力行使についての制限や制約を緩和もしくは撤廃するべきだ。危機の未然防止・抑止の観点から、現場の状況に即した武器使用基準をつくる必要がある。

 自衛隊法は防衛出動するときの武力行使について第88条2項において「(前略)武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあつてはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする」と定めている。しかし、現実には「国際法および慣例の遵守」からかけ離れて大きな制約を受けている。武器を携帯することすらないまま、危険な海外派遣を強いられているのが現状である。このことは、現場の部隊指揮官および隊員の判断と任務遂行をより難しくし、場合によってはかえって毅然とした対処をためらわせて事態解決を困難に陥らせる可能性がある。武器の使用については、少なくとも国際常識のレベルに従うとするべきであろう。ともすると、これまでの武器使用に関する議論は教条主義的であり、政治的取引に使用されてきた。

 このたび、パキスタンの災害救援に派遣された陸自ヘリ部隊は、武器を携行していない。パキスタンの国内情勢が極めて厳しい危険な状態にあることを考えると、あまりに「武器使用」に拘泥した措置である。政府は、ただ「ヘリを持っているから」という理由で自衛隊を派遣したのではないだろう。危険な地域での任務だから、自衛隊を選んだのである。ならば、事態によっては武器を使用することを念頭に置くべきであろう。

 同時に、部隊運用基準ROE (Rule of Engagement)を確立するよう、防衛大綱に盛り込む必要がある。ROEは、軍事作戦を実行する現場部隊に対して、政府が発する簡潔な特定の指導である。国家・政府は、軍事活動において、不必要な破壊や殺傷を回避するために、国際法(特に、武力紛争法)を厳格に遵守しなければならない。国家が国際法を遵守するということは、部隊・部隊構成員が国際法を遵守しなければならないことを意味する。これを担保するための基準がROEだ。

 冷戦崩壊後は「戦争以外の軍事作戦」(MOOTW:Military Operations Other Than War)が多様化し増加している。自衛隊も、国連による平和維持活動(PKO)や平和執行活動に参加する機会が増加する傾向にある。これらの活動を派遣目的の範囲内に限定し、かつ武器の使用を含めた任務遂行を円滑に行うためにもROEを確立する必要がある。

集団的自衛権の行使を認め日米安保体制の実効性を確保せよ

 第7は、日米同盟の実効性の確保、すなわち集団的自衛権の行使について述べる。

 わが国の防衛において日米同盟は、見通しうる将来において最も重要な要件である。独立国として「対等な同盟」を希求するならば、集団的自衛権の行使は必然的に重要な条件となる。同盟は、相互の利益を確認するとともにリスクも共有する双務性を持って成立する。そして、自国の独力による防衛努力を超えた抑止力を構成するトータルパワーとなる。

 同盟の真の信頼性は、集団的自衛権の行使を認めることによって、お互いを助け合う意思と行動を一体化できるかどうかにかかっている。基地の提供や思いやり予算という物的なものと米国青年の生命とを等価とするわが国政府の発想は、実際に日本が緊急事態に陥ったときに、同盟破綻を呼び起こすだろう。

 安倍元首相が設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が2008年6月に発表した報告書は、以下の4類型について、集団的自衛権の行使を認めるなど政府解釈を変更すれば、現憲法のまま実施できると結論づけた。1)公海における米艦防護、2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃、3)国際的な平和活動における武器使用、4)PKO活動における他国への後方支援。

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