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「世論は政治家の人気で動く」と曲解したがる人々

『世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか』の、菅原琢・東京大学特任准教授に聞く

  • 芹沢 一也

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2010年10月25日(月)

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―― 今回は『世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか』で、政治家やメディアがいかに「世論」を読み違えてきたのかを分析した、政治学者の菅原琢さんにお話を伺います。菅原さんのご専門からお話しいただけますか。

菅原 専門は選挙制度の研究です。選挙制度が各アクターにどう作用するか、あるいは政党政治がどう秩序づけられるか、そういった研究をしています。日本のほとんどの政治家は選挙区を代表して活動しているので、有権者の意向やメディアの報道には非常に敏感になります。今回書いた『世論の曲解』は、選挙制度自体の議論はあまりしていませんが、そういう意味で暗黙の前提となっています。

菅原 琢 (すがわら・たく)
1976年東京都生まれ。政治学者、博士(法学)。専門は政治過程論。東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修士課程、博士課程を経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター特任准教授。共著書に『現代日本の政治家像』『参議院の研究』(木鐸社)、『変貌する日本政治 90年代以後「変革の時代」を読みとく』(勁草書房)などがある。議員の議会活動データベース「国会議員白書」をネット上で公開中。

―― 小泉政権に対する世間の評価を、メディアや政治家が読み違えていたということですが。

菅原 たとえば2007年参院選の敗北のあと、自民党の一部議員は「小泉政権の負の遺産」で地方が疲弊したのが敗因だとして、公共事業を要求しました。しかし選挙結果や世論調査、ネット調査を分析してみても、そういった議員の主張通りの事実は浮かんでこない。

 農村の自民党得票率は一定で、一方、自民党から離れた人びとは、自民党や安倍政権への評価は低くても、小泉政権への評価は高いままです(図)。要するに、まったく正反対の主張をしていたのです。でもこれは、読み違いというより、「そうであって欲しい」というところからくる曲解でしょう。

2007年参院選前に自民党、安倍首相の評価は大幅に低下する一方、小泉純一郎に対する評価はあまり変わらなかった。(『世論の曲解』第3章より)
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 小泉政権の内閣支持率は過去の政権に比較して高く、自民党の支持率も向上させていた。「小泉ブーム」という言葉に代表されるように、個人的人気の高さが強調されていますが、リーダーがカッコイイから、面白いからというようなことだけで、政権や政党の評価が決まることはないです。当然、政策や政権運営を評価してのことです。

改革を求める層は、利益誘導政策に厳しい

―― 小泉政権への支持が高まったのは、改革への期待感からでしょうか?

菅原 小泉政権に入って、新たに自民党が獲得した支持層は、まさにそういう人たちです。自民党政治の歴史のなかでみると、改革への流れがでてくるのは必然で、そうでなければ、自民党政権は21世紀に入るとともに終焉を迎えていたでしょう。小泉の登場のおかげで自民党政治が生き延びて、改革が進んでいない部分も強く残っていると考えれば、功罪両面あるでしょう。

 しかし、小泉政権のおかげで改革の方向性が明確に示され、この方向性でないと自民党は生き残っていけないし、あるいはほかの政党も改革を期待する有権者の声を拾えないと選挙で勝てないというということも分かった。政治家だけでなく、有権者もそうでしょう。利益誘導的な政策を訴える政治家にますます厳しくなっています。

―― ただ改革といっても、「政策」中心の政治にはなっていません。政治家もメディアも、有権者は結局、人気に左右されると考えている節があります。

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