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100年債が警告するバブル

  • 小瀧 麻理子

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2010年10月27日(水)

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日米の量的金融緩和が、社債市場になだれ込むマネーを加速させる。新興国や低格付け企業の高利回り社債に投資家の買いが殺到。新たなバブルを懸念する声はかき消されがちだ。

 100年後に元本が返ってくる債券に、あなたなら投資するだろうか。

 「YES」という投資家が増えている。

 メキシコ財務省は10月5日、償還期限を100年後の2110年とするドル建て国債を10億ドル(約830億円)発行した。国が100年債を発行するのは1996年の中国に続き2例目で、100年債の規模として過去最大となる。

 利回りは年6.1%。米国や欧州、アジアの大手投資家や生命保険会社から、発行額の2倍を超す需要があった。今年独立運動開始から200周年に沸き、5%の経済成長を見込むメキシコ。今月償還期限を迎えるサムライ債(円建て外債)をはじめ、2012年までの対外債務の償還に必要な資金を手当てするのが狙いだ。

 「カントリーリスクはあるが、年金の運用利回りを少しでも高めたいので、1世紀の間、年6%の利回りを約束してくれるのは魅力的」。ある国内年金運用担当者は言う。

90年以来のブーム

 ここにきて世界的な100年債ブームが到来している。口火を切ったのは米東部に路線網を広げる鉄道大手のノーフォーク・サザン。8月下旬に償還期限を2105年とする社債を年6%の利率で発行した。続いて、オランダの大手金融グループ、ラボバンクも年5.8%で100年債を発行した。

 実は100年債ブームは、1990年代の米国でも1度起きている。当時は、ウォルト・ディズニー、コカ・コーラやフォード・モーターなど米国を代表する企業やハーバード大学など50近い発行体が100年債を相次ぎ発行した。だが、米内国歳入庁(IRS)が「100年という超長期間は事実上の株式投資だ」との見解を示し、税制上のメリットが薄くなったことで、尻すぼみになった経緯がある。

 事実上の抑制令が出ているにもかかわらず、十数年を経て金融危機後に復活した100年債。「それだけ市場にマネーがあふれ、投資家のリスク許容度が大きくなっているということだ」(みずほ証券)。

 少しでも高いリターンをーー。市場の渇望はそれほどに大きい。

 「マイクロソフトは1%以下かーー」

 9月に米マイクロソフトが募集した3年物社債の利率は年0.875%。3年債の利率では米市場で過去最低という。投資家からは落胆の声が広がった。

 背景には債券市場の指標となる米長期金利の低下に歯止めがかからないことがある。日米の量的金融緩和政策で、市場に大量のマネーが出回りつつある。だが、いくら中央銀行が景気回復を願ったところで、設備投資や住宅投資など実体経済には向かわない。相対的にリスクの低い債券市場にカネがなだれ込み、金利低下を招くという悪循環が加速しているのだ。

 米10年物国債利回りは、90年の9%台から直近は2%台に下落。30年物も3%台と歴史的な低水準に沈んだ。

投資家、社債求めて企業行脚

 並の債券投資では満足のいく利回りが得られない投資家は、冒頭の100年債のように、期間が異様に長かったり、発行体の信用力が多少低くても、金利が相対的に高い新興国市場などの債券に資金を回している。

 平常時ならば、資金調達を成功させるために、発行体となる企業が投資家に説明して回るのが慣例だが、今は逆。「(特定の投資家を対象に発行する)私募債を我々に向けて発行してほしい」。米国では投資先が見つからず困った運用者たちが、企業の下を渡り歩く「リバースロードショー(逆巡業)」が盛んに行われている。

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