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国債は「身代わり地蔵」である――バランスシート調整(1)

バブル崩壊で「資産」は減った、しかし「負債」は残った

2010年11月2日(火)

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 今回は日本の1990年代以降のバブル崩壊とその後の金融システム問題のなかで分かりにくいバランスシート調整を紹介したい。同時に、それを通じて国債の果たす役割を考える。

 われわれの問題意識は、バブル崩壊後の日本と同様のバランスシート調整が2007年以降の欧米でも進行しているのではないかという点にある。バランスシートという言葉は、テレビなどで議論する際、「一般的な理解を超える」とされることが多かった。また、筆者はこの10年あまり海外投資家と議論する機会を頻繁に持ってきたが、バランスシート調整という概念は海外ではなじみが薄かった。ただし、ここ数年、海外投資家のなかでもそうした概念を議論する動きが生じている。

バランスシート調整が企業から金融機関へと波及

 バランスシート調整の問題とは、保有資産の価値が減少することで生じる様々な問題を指す。簡単に言えば、保有している資産の価値が下がればその分だけ損失が生じる、ということだ。

 これをバランスシートの概念図で考えてみよう。1980年代のバブル期には信用拡大が起こり、企業、金融機関、家計の3つバランスシートが資産と負債の両建てで大きくなった。企業がお金を借りて株、不動産へ資金を流す。その信用仲介を金融機関が担い、日本全体のバランスシートが両建てで大きくなるプロセスが生じたことになる。このようなファイナンスの拡大は、株式や土地といった資産の価格を上昇させた。これらの資産を担保として借り入れを行い、再び株式や土地などに投資することが繰り返された。

 しかし、ひとたび資産価格が下落に転じると、担保割れとなった保有資産を売却しても、借金を返済することはできない。そうした事態を避けようと、資産の価格が将来下がると思った企業は、早めに資産を売却して借金を返済し、損失を最小限に食い止めたいと思う。このとき、市場の参加者全員が同じ行動を取ると資産価格はスパイラル的に下落する。処分できない保有資産の損失は拡大して借金だけがそのまま残ってしまう。

 1990年代以降の資産デフレで企業が持つ資産の価値は大きく消失したが負債(借金)は残った。これが企業の過剰債務である。金融機関側から見ると不良債権となるが、この損失負担を預金者に負わせるわけにはいかない(負担の非対称性)。このため、金融機関が資本をすり減らしながら不良資産を償却するというプロセスが10数年続いた。これが不良債権処理の実態だった。

金融機関の信用活動が問題の根源にある

 これまで見られた議論のなかには、「バブルで価格が上がって、また元に戻っただけの話ではないか」というものがある。確かに、個人が自らのお金で投資をしただけだったらそうかもしれない。しかし、そこに金融活動が絡み、個人自らのお金だけでなく借り入れをして、レバレッジを活用していたことに問題の根源がある。資産価格が下がって価値が消失しても、負債と借り入れは残ってしまうのである。その資産と負債の実質価値の乖離、バランスシートの左と右の乖離を上の図は描いている。その結果、最も影響を受けるのが、企業と家計に挟まれた金融機関であり、その結果、資本が消失してしまったのである。

日本のバブル崩壊の“震度”は第二次世界大戦を上回った

 1990年代以降、企業を中心とする市場参加者がバランスシート上に保有する資産(土地・不動産等)の実際上の価値は、資産デフレという形で大きく消失した。しかも、その消失規模たるや、第ニ次世界大戦と同じ規模もしくはそれを上回るものであった。バブルのピークであった1990年から2005年までのバブル崩壊の間、日本全体の不動産価値の下落額はGDPの2.5倍に相当する1200兆円に上った。この間も日本の金融資産は増えていたため、日本全体の富(国富という)は900兆円の減少で済んだが、それでもGDP(約500兆円)の1.8倍の規模である。

 それでは、第二次世界大戦のときはどうだったか。当時の被害総額は当時の金額で643億円、GDPの0.86倍であった。経済規模からすれば、バブル崩壊による被害総額は第二次世界大戦時の被害の2倍の“震度”を持っていたのである。

コメント4件コメント/レビュー

バブルが崩壊した時に恐慌にならなかったのは、政府が赤字になったから。景気が再上昇しなかったのは、財政再建派が途中で邪魔したから。(2010/11/03)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

バブルが崩壊した時に恐慌にならなかったのは、政府が赤字になったから。景気が再上昇しなかったのは、財政再建派が途中で邪魔したから。(2010/11/03)

記事の中にある「日本の国富と不動産価格の推移」の図においてバブルの山の前と後では価格は上昇している.つまりバブルの前後で国富は失われていないことを示している.バブルによって損失を蒙った人がいる反面,同額だけ儲けた人がいる筈で,差し引きゼロと考えるべきである.バブルによって家一軒焼けたわけでなく,第二次世界大戦の損害で失った国富より大きいとするのはおかしい.従って国債の残高をバブルの損害額と考えるのもおかしい.因みに日本の国債は95%日本人の資産でもあり,余り心配する対象ではない.(2010/11/02)

気になるところが・・・。第二次世界大戦と金額規模で比べる時点でナンセンスでは。ただしバランスシート上の国債の考え方が、某三橋氏よりも的を射ている。(2010/11/02)

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