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日本の現状に見る「インターネットの“悪夢”、再び」

なぜスマートグリッドに前向きでないのか

2010年11月8日(月)

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 日本でもスマートグリッドは盛り上がっている。世界に冠たる重電メーカーの東芝は、米ニューメキシコ州や宮古島の実証実験に参加し、監視制御装置や計量システム、BEMS(Bulding Energy Management System=ビルディング・エネルギー・マネジメント・システム)サービスの市場の獲得を目指している。また太陽光発電分野では、シャープや京セラが技術力でも生産力でも世界市場を引っ張ってきたし、リチウムイオン電池分野はソニーが切り開き、三洋電機と共に長らく独壇場であった。

 これまで電力システムとは無縁と思われていた業界からの注目も集まっている。家電の雄であるパナソニックは、三洋電機を買収したうえで環境エネルギー分野への取り組みを強めており、デンマークの電力会社とHEMS(Home Energy Management System=ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の実証実験を開始するなど、スマートホームへの参入を目指している。HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)について、日本の自動車メーカーが世界の最先端に位置していることは既に触れた。そして青森県六ケ所村のスマートグリッド実証実験では、ベンチャー事業者の日本風力開発(東京都港区)が、トヨタ自動車、パナソニック電工、日立製作所と組むことになった。

 日本政府もこれらの後押しをしている。その中心は、エネルギーを所管する経済産業省である。「低炭素社会の実現に向けたエネルギーマネジメントシステムの構築」と題して、2010年度予算でスマートグリッド関連に計87億円を確保した(表1)。これら以外に、再生可能エネルギーの導入促進に777億円、次世代自動車や燃料電池の開発に379億円が割り当てられている。

表1:2010年度の経済産業省のスマートグリッド関連予算
名称 予算額
スマートコミュニティ関連システム開発事業 11億円
蓄電複合システム化技術開発 43億円
分散型エネルギー複合最適化実証実験 6億円
日米スマートグリッド共同実証事業 18億円
次世代スマート送配電技術実証事業 4億円
スマートメーター大規模実証事業 5億円

出典:経産省資料

 また、資源エネルギー庁が系統安定化などの観点から複数の研究会を開催し、日本でのスマートグリッドの在り方について議論してきた。他の部局でも、国際標準化については基準認証課、次世代自動車については自動車課も独自の研究会を設けるなど、スマートグリッド関連の研究会が乱立したため、2009年11月には「省内横断的なプロジェクトチーム」として「次世代エネルギー・社会システム協議会」を設置した。ここでの議論を経て、国内4地域(横浜市、愛知県豊田市、京都府けいはんな学研都市、福岡県北九州市)を選定し、今後5年間にわたってスマートコミュニティの実証実験を進めていくところである。

 その結果、産業界全般で認知度が高まり、スマートグリッドは日本経済新聞においても頻繁に取り上げられている。図1のグラフは、「スマートグリッド」で四半期ごとの記事検索をかけた結果だが、IT(情報技術)業界の最大のキーワードである「クラウドコンピューティング」と比べても遜色ない注目を集めている。日本でもスマートグリッドは、企業も政府も期待する経済発展の貴重な源泉なのだ。

電力会社はスマートグリッドに取り組みたくない?

 欧米と比べた日本の最大の特徴は、電力会社がスマートグリッドに前向きでないということだ。電力業界関係者によれば、2009年の後半までは電力会社の前で「スマートグリッド」という言葉はタブーだったという。あるいは、電力会社がスマートグリッドに言及する際には、必ず「日本型」という接頭語を付けていた。その理由は明快である。前回(「国家主導で投資が進む中国、そして日本は?」)で触れた通り、電力会社にとってスマートグリッドに取り組む動機に乏しいからだ。

 アメリカとは異なり、日本の電力市場は今後拡大が望めず、健全な経営に徹してきた日本の電力会社は、発電にも送電にも十分な設備を保有している。原子力発電の稼働率さえ上げられれば、需要者にピークシフトに協力してもらわなくても十分に需要を賄える。そして欧州とも異なり、日本では再生可能エネルギーの導入率が低く、当面は電力システムへの悪影響は少ない。

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