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新防衛大綱が示すべき5つの基本(後編)

東シナ海における脅威を拡大する中国

  • 古澤 忠彦

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2010年11月5日(金)

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 菅直人内閣は、年末までに新しい防衛大綱を閣議決定する予定だ。防衛大綱は、日本の中期(5~10年)の安全保障政策の指針を示す重要な文書である。本来なら昨秋、改定する予定の文書だったが、政権に就いたばかりの民主党が1年延期した。
 このコラムでは、外交官や自衛隊のOB、国際政治学者などの専門家が考える防衛大綱の「私案」を紹介する。日本は、集団的自衛権の行使を今後も 禁止し続けるべきなのか? 非核三原則、武器輸出三原則などの「原則」を今後も維持し続けるべきなのか? 日米同盟はいまのままでよいのか? 米軍基地は 日本に必要なのか?
 安全保障政策に関する議論は、これまでタブー視されてきた。しかし、本来はみなで議論し決めていくものである。このコラムで紹介する私案は、ビジネスパーソンが自分のこととして安全保障政策を考える際の座標軸づくりに役立つはずだ。

第6回は、元海将の古澤忠彦氏だ。

 前回から続く

16大綱のあと、国際情勢は大きく動いた

 現在の16大綱(注:「16」は平成16年の意)、すなわち「平成17年度以降に係る防衛計画の大綱」は、2001年9月11日の「米国同時多発テロ事件」以降の急変した国際情勢を背景に政府が閣議決定した。国際テロ組織などの非国家主体が、世界の安全保障態勢に対する重大な脅威となった。アフガニスンやイラクにおいては、宗教や民族などの要素も密接に絡んだ、解決の糸口がみつからない紛争が多発している。

 また弾道ミサイルや大量破壊兵器の拡散、北朝鮮の核実験など、新たな課題への対応が求められるようになった。加えて、環境破壊による地球温暖化現象・異常気象や大規模災害・地震多発、東南アジアや中東地域における海賊の跋扈(ばっこ)、新型インフルエンザをはじめとするパンデミック(全世界的流行病)など、より身近に脅威や不安定要素を実感するようになった。

 中国の急激な経済成長は、同時並行的に軍事力の増大・近代化を促進した。その結果、海洋権益に対する積極的な挑戦が近隣諸国に不安を与えている。

 さらに、一極支配を維持してきた米国はイラクやアフガン紛争に足を取られ、世界への影響力を相対的に減衰させている。財政事情の悪化がそれに拍車をかけている。

 ロシア、インド、ブラジルなどの経済的・軍事的な国力増大は世界を多極化に向かって進展させている。

 このように最近の東アジア・西太平洋情勢は複雑さと先行きの不透明さがいっそう加速している。特に中国の覇権拡大はこの地域の安全保障に大きく影響し、当面この傾向は継続するであろう。

富国強軍を推し進める中国軍

 中国の軍事力の脅威について、日本・東京よりも地球の反対側に位置する米国・ワシントンの方がはるかに強い危機感を持ってとらえている。軍事情報の多くを米国に依存せざるを得ない日本が、“二番煎じ”に甘んじなければならない現実の結果であろう。日本国民には、台湾海峡、南シナ海、東シナ海、インド洋など、わが国にかかわる地域海域の軍事情勢が「遠い所」の問題としてしか映っていない。

 中国軍の増強近代化は、改革開放政策による経済成長に伴って急速に進んでいる。最近では、経済の伸びよりもはるかに高い軍事費の伸び率を示していると言われている(平成22年防衛白書)。特に、宇宙、空軍、海軍、ミサイル、サイバー戦などの能力は、2005年以降に急速に充実してきた。中国は、「富国強軍」の国家目標を堅持しており、2007年10月の中国共産党大会で胡錦濤主席が改めて確認した。

第2列島線から米海軍を締め出す戦略を遂行

 中国は「軍事力の及ぶ範囲まで防衛する」という軍事ドクトリンを持っていると言われている。21世紀に入って「近海防衛戦略から外洋積極防衛戦略」に転換した。既に、いわゆる第1列島線(日本列島・沖縄・台湾・フイリピンを結ぶ線)以内の黄海・東シナ海・台湾周辺海域・南シナ海の防衛区域を固めている。これに続けて、第2列島線(小笠原列島・マリアナ諸島・南太平洋を結ぶ線)までの西太平洋において米空母機動部隊などの近接を阻止するとともに、同海域の海上優勢および航空優勢を確保する戦略を立て、態勢を確立しようとしている。

 海軍を例に取ると、中国の第2世代の戦略原子力潜水艦である「晋」級は、2010年以降5年間に5隻が就役する見込みである。晋級は弾道ミサイルの発射装置を持つ。「商」級の原子力潜水艦も2006年以降戦列に就く予定だ。「元」級、「宋」級、および「キロ」級の在来型潜水艦に対しても静粛性などの戦術能力の近代化を進めており、2004年以降、就役艦数が急速に増えている。

 最新の「旅州」級ミサイル駆逐艦は2006年に1番艦「瀋陽」が就役した。「旅洋」級イージスミサイル駆逐艦と「ソブレメンヌイ」級ミサイル駆逐艦は、2004年以降、近代化システムを追加するとともに、数を増やしている。

 また、「江凱」型フリゲイト艦は新装(外観は旧型と同じであるがコンピューターや電子機器などを新しくしている)なって2008年に4隻が就役した。

 このように2000年以降、90年代までの旧式装備を整理。かつロシア技術から電子技術をはじめとする西欧技術に転換することで、新装備の艦船を集中豪雨的に増やしている。

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