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「妊娠解雇」が「児童虐待」の引き金になった

派遣社員で働く30代女性のケース

  • 小林 美希

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2010年11月1日(月)

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 「こんなはずではなかった。つい、激しく叩くようになってしまった」

 4歳の娘と1歳の息子の母、野村加奈子さん(仮名、33歳)は、肩を落とし、ぽろぽろと涙を流しながら話し始めた。

妊娠で正社員の道が閉ざされた

 加奈子さんは2000年の超就職氷河期に大学を卒業。就職率55.8%という中では就職先が見つからず、派遣社員で社会人のスタートを切った。一般事務職の派遣として食品メーカーで1年働き、「派遣でもスキルをつけなければ生き残れない」と感じた加奈子さんは簿記試験を受けるなどして経理の勉強を始めた。

 そのうち、IT(情報技術)関連会社の経理部に派遣された。25歳で大学時代から交際していた恋人と結婚。彼は居酒屋チェーンで正社員として働いている。加奈子さんの年収は約300万円。彼の年収は約400万円。「2人合わせれば、十分暮らしていける」と信じていた。

 結婚した2004年、労働者派遣法が改正され、派遣期間の上限が原則3年となった。派遣元の担当者から派遣法改正の内容を教えられた際には、「3年経ったら直接雇用される可能性が出るので頑張ってください」と言われた。加奈子さんは「就職氷河期世代にもチャンスが回ってくるのでは」と、意気揚々としていた。しかし、そんな期待は子どもができた途端に裏切られた。

 派遣で3社目となった会社で2年経った頃、職場では上司から「このまま行けば、正社員になれる」と言われていた。ところが翌年、加奈子さんの妊娠が分かると事態は一変する。加奈子さんは「出産する頃は正社員になれる。早めに報告したほうが迷惑をかけないで計画的に仕事ができるだろう」と思い、妊娠が分かってほどなく、まず派遣先の上司に笑顔で報告した。

 「子どもができました。出産ギリギリまで頑張りますので、よろしくお願いします」

 上司も祝福してくれると思ったが、思いもよらない言葉が返ってきた。

 「正社員になろうっていうのに、なんで子ども作るの?」

 その言葉を聞いた瞬間、嫌な予感がした。上司は「今後について派遣元と相談する」と言う。それ以降、上司は加奈子さんを避けるようになった。自分のこの先がどうなるのか、不安になって派遣元の担当者に聞くと「まだ何も聞いていない」と言われ、「妊娠のこと、先に(派遣元に)言ってくれなきゃ困る」と困惑された。正社員になれるかなれないか、残りの契約はあと4カ月――。

 3週間後、次の更新の手続きの時期、派遣元から「派遣先から次の契約は更新しないと言われた」と告げられた。派遣先の上司に思い切って食い下がってみたが、「妊娠中の大事な時に、正社員になって仕事が増えたら出産に障るだろうから、体を大事にしたほうがいい」と一蹴された。

 いわゆる「妊娠解雇」に遭ったのだった。加奈子さんが理解していた派遣法の趣旨とは違う意味で、3年が経過する直前に契約が打ち切られ、雇い止めになった。つまり、合法的に事実上の解雇となったのだ。

 本来、労働基準法では、産前産後休業(産前6週、産後8週)が定められており、パートや正社員などの雇用形態にかかわらず、すべての女性に認められている。育児介護休業法が改正され、2005年からは条件付きではあったが、有期雇用契約の労働者にも初めて法的に育児休業の取得が認められた。

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