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英語で書かれた原稿が、インドで編集されて本になる

“正統な”英語を身につけ始めたインド人

  • 河合 江理子

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2010年11月2日(火)

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 世界の英語は1種類だけではない。インドで使われているインド英語やシンガポールで使われているシングリッシュ、旧英国植民地のアフリカ諸国で使われている英語などがある。いずれも、元々のイギリス英語であり、その地域で長い間使われているうちに、独自の英語へと発展していった。

 そもそも英国で話される英語と、北米で使われているアメリカ英語(米語)で違いがあることをご存じの方も多いだろう。同じ単語でも発音やスペリングが違ったり、独自のイディオム(慣用句)が使われたりする。発音の違いは英国内、米国内でも見られ、イギリスのスコットランドの方言やアメリカの南部の方言は日本人にとっては非常に分かりにくいものである。

欧州の国際機関は「イギリス英語」と決まっている

 スペリングの違いで、代表的な例を挙げると、イギリスで「S」と書かれているのが、アメリカで「Z」となるものが多い。「Organisation」はイギリス英語のスペルで、「Organization」はアメリカ英語のスペルである。

 単語の違いも多々ある。例えば、映画、ガソリン、地下鉄。アメリカでは順に「Movie」「Gas」「Subway」であるが、イギリスでは「Film」「Petrol」「Underground(またはtube)」というのが一般的だ。

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 ヨーロッパでは、主にイギリス英語が使われる。私が働いていたスイスやパリの国際機関でも、イギリス英語で文章を書くことに決まっていた。組織の名前でも、OECD(経済協力開発機構)は「Organisation for Economic Co-operation and Development」の略で、イギリス英語で表示されている。 

 しかし、企業では必ずしもイギリス英語を使わなくてはいけないということはない。アメリカ英語でもイギリス英語でも、どちらかの言葉で文章を統一すれば問題ないはずである。ただし、米マイクロソフトの文書作成ソフト「Word(ワード)」はデフォルトが米語になっているので、イギリス英語で書きたい場合には設定変更しないとエラーとして表示される。

 語彙の違いもある。イギリスのテレビのニュースを理解するのは問題ないが、テレビドラマなど見ているとアメリカでは使わない単語や表現がたくさん出てきて、戸惑うことがある。「Dodgy(怪しい)」や「Bugger(ばかな)」などは主にイギリスで使う口語だ。

 ビジネス英語ではイギリスとアメリカであまり違いはないが、日常会話では違う表現を用いることも多い。建物の1階と2階についても、アメリカ英語では日本と同じように数える(「First floor」「Second floor」)のに対して、イギリス英語では日本の2階に当たる階を1階と呼ぶ(日本の1階は「Ground floor」で、その上が「First floor」となる)。フランス語も、イギリス英語と同じ階数の数え方をする。

英語を英語に翻訳するアルバイト!?

 さて以前「『正しい英語』と『使える英語』は何が違う?」で、ビジネスには完璧な英語は必要ないと述べた。ただし、職業や状況によっては美しいクイーンズイングリッシュや米国東海岸の英語を話すことが必要になることもある。英語教師や通訳、コールセンターなどでは、正統と言われる英語を話すことが求められる。

 最近、私の卒業したフランスのINSEAD(インシアード、シンガポールにもキャンパスを持つ国際経営大学院)で組織学を教えているアメリカ人のリンダ・ブリム教授と、「グローバリゼーションと英語公用語化」について話をする機会があった。この時、彼女はイギリス英語とアメリカ英語について、おもしろいエピソードを話してくれた。

 今から40年ほど前、まだ彼女が20代の頃のことだが、大学院生の時に1年間休学してフランスのプロバンスの村に滞在した。村での仕事と言えば肉体労働ぐらいしかなく、修士を取った彼女にあった仕事はなかった。農作業など、肉体労働も簡単ではない。

 やっとのことでアルバイトとして見つけた仕事は、アメリカ英語で書かれている商品の説明書をイギリス英語に翻訳(編集)する仕事であったという。「そんなに大きく違わないのに」と不思議に思った私に、「語彙やスペルが違う場合があるから、編集する必要があるのよ」と説明してくれた。確かに“Public school”のように、アメリカでは公立校、イギリスでは私立のエリート校と、意味が全く逆になる言葉もある。

コメント3件コメント/レビュー

今回のお話は分かりやすく、面白く読めました。アメリカ英語に慣れている人にはイギリス英語はとっつき難い。特にロンドンの下町の店員の話す英語は聞き取り難い。村上春樹さんが「遠い太鼓」というエッセイの中で、ロンドンでローストビーフを買いに行ったが、言葉が通じず買うのを諦めたという話を書いておられます。あの小説家且つ「翻訳家」がですよ。今回、最後に英語はあくまでも道具(ツール)であることを強調されていますが、全くその通りだと思います。英語だけ出来てもダメ、仕事が出来ないと・・・。しかし、英語も出来ないとダメ。そういう時代になりました。楽天やユニクロの発表はまだそのことに目覚めない人たちに対して、檄を飛ばしたものといえましょう。(2010/11/02)

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今回のお話は分かりやすく、面白く読めました。アメリカ英語に慣れている人にはイギリス英語はとっつき難い。特にロンドンの下町の店員の話す英語は聞き取り難い。村上春樹さんが「遠い太鼓」というエッセイの中で、ロンドンでローストビーフを買いに行ったが、言葉が通じず買うのを諦めたという話を書いておられます。あの小説家且つ「翻訳家」がですよ。今回、最後に英語はあくまでも道具(ツール)であることを強調されていますが、全くその通りだと思います。英語だけ出来てもダメ、仕事が出来ないと・・・。しかし、英語も出来ないとダメ。そういう時代になりました。楽天やユニクロの発表はまだそのことに目覚めない人たちに対して、檄を飛ばしたものといえましょう。(2010/11/02)

インドでは英語ができるほうがはるかに金になるという環境がある。韓国も一流企業に入るには英語が必須という環境だ。だが日本は状況が違う。英語ができるから収入が何倍も違うなんてことはない。英語ができることによるインセンティブが今のところあまりないように思える(※職種によります)。どちらかというと女性のほうがインセンティブがはるかに高いかも。正規雇用、結婚後も働き続ける道が開ける、外国人と知り合える等。(2010/11/02)

■関西語(大阪弁)と標準語の関係も英語と米語の関係に似ています。 ■特に、書き物を関西語で書くと地域色・情緒が出過ぎます。ですから、ビジネス文書や(この文章のように)地域・情緒と関係ないことを書くときは標準語を使うことになります。 ■そこが関西語の弱いところで、地域語の衰退にならないか気がかりではあります。負けへんけど。(迷亭寒月)(2010/11/02)

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川野 幸夫 ヤオコー会長