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自分がバフェットになって、この国を変える

年俸4億円超の弁護士から投資家へ転身した“志士”の決意

  • 荒井 裕樹

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2010年11月8日(月)

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 対価は604億円──。青色LED(発光ダイオード)の職務発明の対価を巡り、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の中村修二氏が、元勤務先の日亜化学工業を相手に起こした裁判。2004年の第1審判決で東京地方裁判所は対価を604億円と認定し、請求額満額の200億円の支払いを日亜化学に命じた。

 金額のあまりの大きさに産業界のみならず一般の人々も衝撃を受け、判決の是非についての論争が巻き起こった。その当時のことを今も覚えている人は多いだろう。中村氏の代理人を務め、この判決を引き出して辣腕弁護士としての名声を高めた升永英俊氏。その傍らに常に控えていたのが、当時27歳ながら升永氏の右腕として頭角を現していた荒井裕樹氏だ。

 同氏は升永氏の後継者として、日本の法曹界で大きな仕事を成し遂げていくと目されていた。ところが2年前に突然、年俸4億円超という訴訟弁護士の仕事を辞めて転身を図る。新たに足を踏み入れたのは金融の世界。これからはファンドを運営する投資家として産業界に風穴を開け、日本経済の再生に貢献していくという。

 「目標は日本のウォーレン・バフェット」──。米国のビジネススクールでMBA(経営学修士号)を取得し、今夏から活動を本格的に開始した荒井氏はこう力強く語る。まだ34歳の俊英は、果たして新たなフィールドでどのような活躍を見せるのか。

 本コラムでは、投資家の立場で金融市場という舞台を介して日本の再興を目指す荒井氏が、日本経済の病巣を指摘し、再興に向けた青写真を語る。

弁護士から投資家に転身した荒井裕樹氏(写真:陶山 勉)

 「荒井さん、訴訟弁護士をやっていたのと、今やっている投資関連ビジネスと、どちらが楽しいですか?」

 つい最近のことだ。懇意にしている顧客からこう聞かれた。私は即座に次のように答えた。

 「もちろん、弁護士として社会的影響力のある事件の代理人をすることは非常にやりがいのある面白い仕事でした。ですが、今取り組んでいる仕事は、それ以上に面白いです」

「弁護士では世界の舞台で戦えない」

 私は2000年10月に訴訟弁護士になって以来、数多くの訴訟を手がけた。

 中には、一般の方々の関心を集めたものも少なくない。その最たるものは、青色LEDの開発者である中村修二・米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授が、元勤務先の日亜化学工業(徳島県阿南市)に対して職務発明の対価を求めた裁判だろう。

記者会見に臨む中村修二氏(左)と恩師の升永英俊氏

 そのほか、UFJホールディングスと三菱東京フィナンシャル・グループの信託部門の統合交渉差し止めを求めた裁判や、味の素の人工甘味料にかかわる職務発明の対価を巡る訴訟、日本の特許侵害訴訟史上で最高額の賠償金支払命令を勝ち取った訴訟……。数々の社会的に大きな影響を及ぼした裁判にも携わった。

 しかし弁護士になって7年半が過ぎた2008年6月、私はある決断に基づいて行動を起こした。所属する弁護士事務所を辞め、米ニューヨークのマンハッタンにあるビジネススクール、ニューヨーク大学スターン経営大学院に留学したのである。この時、31歳だった。

 なぜこのような決断を下したのか。1つには、弁護士という仕事に対して限界を感じたことがあった。裁判所の判決に納得できないケースが相次いだ影響もあったが、「弁護士という職業では世界という舞台で戦うことはできない」と悟ったことが大きかった。

 野球選手が米国のメジャーリーグ、サッカー選手が欧州のプロリーグという“世界”のひのき舞台で戦うように、自分も世界という土俵で戦いたい。こうした思いを抑えきれなくなったのだ。

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