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日本語では、「日本の考え方」は世界に伝わらない

「英語ができる政治家」では選挙に勝てないのかもしれませんが・・・

  • 河合 江理子

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2010年11月9日(火)

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 最近、水村美苗さんの『日本語が亡びるとき――英語の世紀の中で』(筑摩書房)という本を読んだ。今からちょうど2年前、2008年11月に発売されて「小林秀雄賞」を受賞するなど話題になったので、ご存じの方も多いだろう。帰国子女で米イェール大学と大学院で仏文学を専攻した後、日本語で小説家と活躍している著者の日本語論、英語論は説得力がある。

 無策であるままのゆえに、いつまでたっても日本には優れて英語が出来る人材が充分に育っていない。それをことに感じるのは、テレビのニュースで国際会議などの模様を見ていて、各国の政治家がみな英語を話す中、日本の政治家だけはしれっと日本語で通し、皆が並ぶ写真のかろうじてはしに立たされないよう努力したあげくの作り笑いが見え透くときである。日本は国際会議に出かけられるだけの英語力をもった政治家さえ育っていない。国連や世界銀行で働く日本人の数も、日本人の経済力を考えると、信じがたいほど少ない。

(『日本語が亡びるとき』pp.268~269)

 国際機関で働いてきた私は、この部分にとても共感を覚えた。日本の拠出金に比べて、日本人職員の数は少ない。例えば、OECD(経済協力開発機構)の年間予算は3億2800万ユーロ(日本円にして約360億円)に上る。このうち、日本政府の拠出額は全体の13.1%に達しており、アメリカの29.3%に続く第2位である。ところが日本人職員は、2500人中の70人にも満たず、そのうち50人近くが日本政府からの出向者。自ら応募した職員は20人以下となっている。

英語力の乏しさが国力の減退につながる

 外務省はいろいろな手立てをとって日本人職員の採用をプロモートする努力をしているが、それでも専門性と、語学力の両方を兼ね備えた人材を見つけるのに苦労している。

 世界銀行やIMF(国際通貨基金)、国連などの国際機関でも同じことが言える。日本は国連の第2の出資国なのに、日本人スタッフのプレゼンスは低い。働きたい人はたくさんいるのだが、英語力の欠如が原因の1つである。

 水村さんの次の文章は毎日、実感として私の身にしみていることである。

 「英語公用語論」には、反対するが、政府の無策を前にして、「英語公用語論」を唱えずにいられなかった人たちの思いには、手をとりあって泣きたいほど共感する。英語の世紀とは、冷戦構造が崩れ、日本が明治維新のときのように自前で外交を進めなければならなくなった世紀でもある。しかも、外交がメディアにさらに左右され、いよいよ言葉の力で渡りあわねばならなくなった世紀でもある。そんなときに、日本に優れて英語ができる人材が充分に存在しなかったら、どうやって世界のなかでやっていけるのか。

(『日本語が亡びるとき』pp.271)

 以前にも書いたが、私は英語公用語論者ではない。日本で日本人同士がなぜ英語で話し合わなければいけないのか、と疑問視しており、国民総バイリンガルになる必要はないと確信している。日本では、日本語が国語で、日本でのビジネスは日本語が話せれば充分なのである。

 しかし、日本の国益を代表するエリートたちが、日本の立場や選択を世界の国に英語で説明していかなかったら、いったい誰が日本の国の国益を考えてくれるのだろうか。知らず知らずのうちに、国力は減退していくのではないのだろうか。国を代表してグローバルな活動をしている人は、どうしても英語が堪能でなければいけないのだ。

 外交や国際会議でのスピーチは、平和時における最高の武器ともなりえるので、かなり高いレベルの英語力を持たなければならない。その発言は、発音はともかく、理論だった説得力のある英語であってほしい。

 堂々と「論理的に」議論できるには、自分の考え方と知識が必要だ。英語がペラペラでも、無内容ではダメなことは言うまでもない。イランやイラクでも、外相などは発音がなまっていても、かなり丁々発止と英語で記者会見している。原稿の棒読みでは、尊敬されるはずがないと思う。

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