「脱中国依存」、「脱レアアース」が叫ばれる中、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、2007年度より5カ年計画で、「次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発事業」の一環として、レアアースを使わない次世代自動車用モーターの研究開発を推進している。現在、7つのプロジェクトが進行中で、その中の1つが、北海道大学の竹本真紹准教授が研究開発を進めている「フェライト磁石を用いた3次元モーター」だ。

「ここまで苦労するとは思わなかった。しかし、ついに、磁力がネオジム磁石の10分の1しかないフェライト磁石を使って、同等の出力を出すモーターの開発に成功した」。そう語るのは、北海道大学の竹本真紹准教授である。
現在、竹本准教授が研究開発に取り組んでいるのが、レアアース(希土類元素)を使わない電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)用のモーター、「フェライト磁石を用いた3次元モーター」だ。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2007年度より5カ年計画で、「次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発事業」を開始。その一環として、レアアースを使わない次世代自動車用モーターの研究開発を推進している。現在、7つのプロジェクトが進行中で、その中の1つが、竹本准教授が研究開発を進めている「フェライト磁石を用いた3次元モーター」プロジェクトである。
レアアース生産量の97%が中国
HEVやEVの重要な構成要素であるモーターには、現在、レアアースである「ネオジム」と「ジスプロシウム」を含むネオジム磁石が使われている。高出力で、エネルギー変換効率が高いからだ。
ネオジム磁石は、1982年に日本人が発明した永久磁石で、数ある磁石の中で、最も強い磁力を持つ。そのため、今では、エアコンや冷蔵庫、パソコンなど、多くの電気製品で使われている。次世代自動車のキーデバイスの1つでもある。
しかし、現在、レアアースの生産量の97%を中国が占めている。2004年末頃からレアアースの価格は上昇し始めていたが、今年に入り、中国政府による輸出枠の前年比40%削減等に伴い、一気に高騰。ここにきて、レアアースを使わず、同程度の出力とエネルギー変換効率を出せる次世代自動車用モーターの開発が重要性を増してきている。NEDOの各プロジェクトでも、研究開発が加速している。
「大量生産を考えた場合、ネオジム磁石が使えないとなると、フェライト磁石を使うしかないな」。
各プロジェクトがさまざまな方法でレアアースを使わないモーターの開発に取り組む中、竹本准教授が選択した道は、「ネオジム磁石の代わりに、フェライト磁石を使う」ということだった。
スーパーカーと軽自動車ほどの差
フェライト磁石の原料は酸化鉄。レアアース資源に乏しい日本であっても、中国の資源戦略の影響を受ける心配がほとんどない。価格もネオジム磁石の約10分の1と安価だ。しかしながら、その分、磁力もネオジム磁石の約10分の1であるのが弱点だった。
現在のフェライト磁石の主な用途は吸着用や小型モーター用である。子供がよく遊んでいる棒磁石もフェライト磁石だ。身近な磁石の1つであることには間違いないが、パワーの面でネオジム磁石と比べると、スーパーカーと軽自動車ほどの差がある。
ネオジム磁石の代わりにフェライト磁石を使って、同等の性能を出すことなど果たしてできるのだろうか――。
しかし、竹本准教授はプロジェクト開始当初、漠然とした自信を持っていた。「モーターの構造を少し改良すれば、すぐにネオジム磁石に匹敵する性能は出せるようになるだろう」。モーターの研究開発一筋でやってきた竹本准教授は、いわばモーターのプロ。企業との共同開発の経験も豊富だった。
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