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日本版トランスフォーメーションを進めよ

しがらみのない民主党ならでは再編を望む

  • 信田 智人

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2010年11月10日(水)

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 菅直人内閣は、年末までに新しい防衛大綱を閣議決定する予定だ。防衛大綱は、日本の中期(5~10年)の安全保障政策の指針を示す重要な文書である。本来なら昨秋、改定する予定の文書だったが、政権に就いたばかりの民主党が1年延期した。
 このコラムでは、外交官や自衛隊のOB、国際政治学者などの専門家が考える防衛大綱の「私案」を紹介する。日本は、集団的自衛権の行使を今後も 禁止し続けるべきなのか? 非核三原則、武器輸出三原則などの「原則」を今後も維持し続けるべきなのか? 日米同盟はいまのままでよいのか? 米軍基地は 日本に必要なのか?
 安全保障政策に関する議論は、これまでタブー視されてきた。しかし、本来はみなで議論し決めていくものである。このコラムで紹介する私案は、ビジネスパーソンが自分のこととして安全保障政策を考える際の座標軸づくりに役立つはずだ。

第7回は、国際大学研究所教授の信田智人氏だ。

 昨年末に発表されるはずであった防衛大綱は、民主党政権下で初めてのものとなるため、発表が今年、2010年末に先延ばしされた。政権交代をしていながら、自民党政権下で編成された有識者会議の方針をたたき台とするのは不自然であり、先延ばしそのものは当然の決定である。政権交代後、新たに佐藤茂雄・京阪電鉄CEOを座長とする「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(以下、有識者会議)が発足し、8月27日に報告書を発表した。

 同報告書は、非核三原則の見直しや、集団的自衛権の行使、武器輸出三原則の緩和など、現在日本が持つ問題点をほぼ全部網羅していると言える。しかし、これらの問題はすべて政治的決断が必要な問題であり、最終的にどれだけ年末に発表される予定の実際の防衛大綱に反映されるかが興味深い。同報告書は全体的に総花的な印象を受けたが、筆者がいちばん評価しているのは「基盤的防衛力構想(以下、同構想)」の見直しを明確に打ち出した点である。

時代遅れの基盤的防衛力構想

 同構想は1976年策定の防衛大綱で打ち出された国防の基本方針で、限定的かつ小規模な侵略に対して独立国として必要最小限の防衛力を保有し、東アジアに力の空白を作らぬようにするというものである。冷戦下に策定されたものであり、ソ連による北方から北海道への侵略に対して、かつての沖縄戦のような本土決戦を展開することを想定している。米軍からの来援が来るまでの間、持ちこたえる防衛力を維持すべきだ、という意図でつくられた基本方針である。

 宝珠山昇元防衛施設庁長官は「日本の風」誌(2005年3月)において、同構想の生い立ちを明かしている。すなわち、防衛庁の防衛局にいた西広整輝(元防衛次官)と宝珠山が生み出し、坂田道太防衛庁長官と久保卓也防衛局長が命名した。また宝珠山は、原則として独力で限定的かつ小規模な侵略を排除するとしたのは、「ネグリジブル・スモールの防衛力しか持てない独立国の意地・気概を込めたものだ」と策定時の心境を語っている。

 当時、陸上自衛隊は、日本を守るための防衛力として6万人増の24万人が必要だと主張した。防衛庁内局はこれに対して、有事の際には基盤的防衛力に対して急きょ増員する方針を明らかにすることで、増員の要求を退けたという側面もある。

 ともかく、冷戦時にソ連の侵攻を想定してつくられた基本方針が、現在まで引き継がれてきた。しかし、冷戦期に43個師団、39万人居た極東ロシア軍の地上兵力は15師団、9万人にまで減少している。また、主要水上艦艇100隻、潜水艦140隻を誇っていた海軍力もそれぞれ20隻にまで減っている。空軍にしても作戦機数は2400機から600機まで減少した。防衛インテリジェンスが今ほど発達していなかった1970年代以前なら、ロシアは、削減後の規模でも北海道急襲が可能であったかもしれない。しかし、インテリジェンスの発達したいま、極東ロシア軍が日米両国の海・空軍連合を破って北海道に上陸するというシナリオは、非現実的なものになっている。したがって、基盤的防衛力の考え方を踏襲する根拠はなくなっており、今回の防衛大綱で見直すのは当然のことである。

部隊編成と人員構成の硬直化を打破せよ

 以下に、私が考える見直しの方向性を述べる。日本は冷戦後、これまで2度にわたって防衛大綱を策定してきたが、自衛隊の抜本的な改編に対して消極的だった。1995年の大綱は基盤的防衛力整備構想を基本的に踏襲することを明言。2004年の大綱は、テロなどの新たな脅威への対応と国際平和協力活動への取り組みを取り込んだものの、同構想の有効な部分は継承するということで、撤廃はしなかった。同構想の考え方に基づいて自衛隊は装備や人員の全国への配備を継続した。これが、自衛隊の部隊編成の硬直化の一因とされてきた。

 過去20年における陸・海・空の3自衛隊の歳出予算配分を見ると、陸上自衛隊が41-45%、海上自衛隊が27-29%、航空自衛隊が26-31%でほとんど変わっていない。ちなみに2010年度予算では陸自が44%、海自が27%、空自が29%となっている。陸自の予算を減らし、海自と空自へ割り当てるような予算配分が必要だと考える。

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