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京都議定書の“受難”再来?

  • 山根 小雪,江村 英哲

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2010年11月8日(月)

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名古屋での生物多様性条約締約国会議(COP10)が閉幕した。米国不在の議論の中、議長国の日本は1620億円もの資金拠出を決めた。この構図は、温暖化ガスの削減目標を定めた「京都議定書」を想起させる。

閉幕を伝える木槌を打ち鳴らした議長の松本龍環境大臣(写真:日本政府提供)

 10月30日午前1時30分。生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の会場は、安堵と熱気に包まれていた。動植物の遺伝資源の利用と公正な利益配分(ABS)ルール「名古屋議定書」が採択されたのだ。この瞬間、世界中から参加した各国の代表者やNGO(非政府組織)関係者たちは次々と立ち上がり、拍手で成果を称えた。

 今回の会議では、生物多様性の保全目標も採択。こちらは「愛知ターゲット」と名づけられた。議長である松本龍環境相が2週間にわたる会議の閉会を伝える木槌を打ち鳴らした時には、時計の針は午前3時を回っていた。

 「名古屋」と「愛知」。日本政府は、開催地名がついた2つの合意を取りまとめた。特に名古屋議定書は、事前会合で先進国と発展途上国の利害が真っ向からぶつかり、落としどころが見えない状況で本会議に突入した。懸け離れた両者の主張の中間地点を模索することで、全会一致という厳しい採択条件をクリアした日本政府は、議長国として一定の成果を出したと言える。

 今回の会議の争点だったABSは、まさに途上国と先進国のカネを巡る争いだった。そもそも生物多様性条約の目的は主に、(1)生物多様性の保全(2)遺伝資源の継続的な利用(3)遺伝資源による利益の分配ルールの確立――の3つ。ABSは(3)の分配ルールに当たる。

製薬業界揺るがす大テーマ

179カ国、1万3000人超が参加したCOP10(写真:日本政府提供)

 1992年の条約制定を機に、動植物の遺伝資源は鉱物資源と同じ扱いになった。先進国が医薬品原料などとして途上国の遺伝資源を持ち出す行為が、「バイオパイラシー(遺伝子の海賊行為)」と問題視されるようになったのだ。例えば、インフルエンザ治療薬の「タミフル」は、中国産の八角を化学合成したもの。遺伝資源の八角は中国の財産なのだから、製薬会社はタミフルで得た利益を中国にも分配すべき、というわけだ。

 条約で分配ルールを定めると決めたものの、条件を巡り議論は紛糾を繰り返してきた。どの時点までさかのぼるのか、八角のように遺伝資源の派生品が原料の場合は対象にするかなどだ。

 条件次第で先進国のメーカーは、巨費を途上国に支払うことになる。少しでも良い条件を引き出したい途上国との溝は、会期終盤まで埋まらなかった。

 そこで議長国である日本は、途上国支援に2010年から3年間でODA(政府開発援助)を含めて1620億円を拠出すると発表。さらに、利益分配の対象時期を議定書の発効以降に、派生品は明文化しない、玉虫色とも言える議長案を提示した。日本に続き、英国が途上国の森林保全に1億ポンド(約130億円)の提供を表明するなど、先進国からの提案が続いたこともあり、名古屋議定書は何とか合意にこぎ着けた。

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