農産物価格の上昇が国内メーカーの業績に影を落としている。新興国需要の拡大で大豆やトウモロコシ、食用油は2008年前半以来の高値に。金融緩和を柱とする景気対策も、商品相場の高騰に油を注ぐ。
「上期は久しぶりにいい数字が出せた。ただ下期は慎重に見ている」
2011年3月期第2四半期の決算説明の席上、花王の会計財務部門を担当する青木和義・管理部長は顔を曇らせた。
上期は売上高6013億円で前年同期比0.4%増、純利益は278億円で同10.3%増だった。通期予想も売上高が前期比0.1%増の1兆1850億円、純利益は同30.8%増の530億円と一見好調に映る。しかしその前の期の水準への回復を原材料高によって妨げられるのではと懸念しているのだ。
その理由は、花王が洗剤やケミカル製品の主原料に使用している、パーム油やパーム核油の価格高騰だ。
食需要でパーム油が高騰

パーム油のアジア市況は8月以降、高騰が続いている。マレーシアの市場では1トン当たり800ドル以下の水準から、10月には一時的に1000ドル台の値をつけた。パーム核油はさらに高騰している。2010年初頭に1トン当たり900ドル台につけた後、10月には1500ドルまで上昇した。
主因は、中国やインドなど新興国での食用需要の増加だ。パーム油はろうそくの原料やプラスチックの可塑剤のほか、マーガリンやチョコレートなど食品にも利用されている。特にアジアでは、パン食の増加でマーガリンの需要が増えている。
国別のパーム油購入量を見れば一目瞭然。パーム油の生産量約4500万トンのうち、1000万トン以上を中国とインドが購入している。新興国の食用油としての実需が、市場価格を押し上げている格好だ。
いただいたコメント
コメントを書く