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外国暮らしが長いと、「日本人らしさ」を失うのか?

国際社会で活躍するバイリンガルの日本人

  • 河合 江理子

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2010年11月16日(火)

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 ヨーロッパ言語のように似通った言葉ならともかく、日本語と英語のように言語学的に離れている場合は、完璧にバイリンガルになることは可能なのであろうか。幼い頃から海外で英語の中で生活を続けると、日本語能力や日本人らしさが失われてしまい、将来的に日本の生活に適応できないのではないのだろうか。英語と日本語のロジックが異なるため、英語の論理に慣れると日本的な論理の展開ができないのではないのだろうか。英語という白黒のはっきりした言語に慣れると、「あいまいさ」に象徴される日本的なファジーな感性や情緒を失ってしまうのではないか。

 こういった疑問に答えるために、今回は私の周辺にいるバイリンガル、英語と日本語を完璧に習得して国際社会で活躍している人たちを紹介したい。

外国暮らしでも日本語は身につく

 OECD(経済開発協力機構)の環境局で局長顧問をしている北森久美さんは、日本の中学3年生の時、初めてロンドンに行き、インターナショナルスクールに入学した。日本の中学校で英語を勉強しただけだったので、最初の1年は英語が母国語ではない生徒のための英語のクラスで、毎日の半分は英語の勉強に費やした。2年目から普通のクラスに編入したが、辞書を引きながら長い間時間をかけて本を読み宿題を終わらせるという生活が続いた。土曜日には日本語の補習授業校にも行き、国語の勉強も続けた。

 当時、北森さんは日本の大学を受験するつもりでいたので、日本語の論文教室にも通った。ところが、父親の日本帰国予定が変わり、ニューヨーク転勤となった。このため、14~18歳までのロンドン生活にひき続いて、米国へ渡ることになる。

 米ニューヨーク大学に入学し、経済学を専攻した。開発経済に興味を持っていたので、卒業後はイギリスにあるロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで開発経済を専攻し修士号を取得した。

 その後、北森さんは再びニューヨークに戻りUNDP(国連開発計画)で無給のインターンシップをしながら就職活動し、24歳で世界銀行(世銀)のアジア局で環境スペシャリスト・エコノミストとして採用され、主に南アジアで都市インフラや環境プロジェクトを担当していた。その後、「ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)」で選ばれ、OECDに転職する。YPPというのは様々な国際機関で32~35歳以下の若く優秀な人が対象の特殊採用枠で、機関によっては幹部候補生枠として位置づけられている。国際機関に就職する方法として人気があり、世界中から多くの修士や博士、優秀なエコノミストが集まってくる。40~50人ほどの枠に、8万~10万人が応募するという狭き門だ。

 北森さんは「英語のほうが楽」と日本語の能力を謙遜して話すが、さすがに日本で大学受験しようと考えていたぐらいなので中学3年生以降は日本で生活していないが、日本語で仕事するのに全く差し障りはなく、日本政府の環境行政の専門家と協力して仕事をしている。私から見て、日本人としての常識と教養を持っている。その一方で、OECDの副事務総長の片腕としてスピーチを書くなどもしている。英語のネイティブでも優れたスピーチを書くのは難しく、高い語学力と専門性が要求される。それほどまでに、北森さんの英語の実力と高い専門知識はOECDで認められていると言えよう。

友人不在がストレスをもたらす

 年齢が低ければ低いほど最初はもちろん苦労するが、外国語に慣れるのはとても早い。もちろん、そんなに簡単に適応できずに、インターナショナルスクールや現地校から日本人学校に入り直す子供たちもいる。

 小学校4年生でアメリカに行き、現地の小学校でストレスから食事をもどすようになってしまった友人のお嬢さんの話も聞いた。それまで東京で日本の学校に通っていたといえ、実はこの友人のご主人はアメリカ人。このため、英語を日常生活で話す環境で、お嬢さんは育ってきた。

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