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025|よろしくないデザインはなぜ生まれるのか?
「作る」と「創る」の違い

2010年11月16日(火)

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 フリーランスデザイナーとしてメーカーなどに打ち合わせに出かけ、担当者とミーティングを行う際に、その会社の社長や幹部の方々にもお会いすることがあります。悲しいことに、こういうときに社長が決まって私に言う言葉。

 「和田さん、ぜひとも売れるデザインをお願いします」

 なんとかして低迷する現状を打破したい。あれこれ手を尽くした末の、デザインは最後の頼みの綱なのかもしれません。他とは違った、斬新で「売れる」デザインをお願いしたくもなるところでしょうが、この言葉が出てくるということは、ものづくりに明確なポリシーも哲学も無く、ただ単に金儲けのための商売をしているというように感じられるのです。自分の会社が儲かりさえすれば何でも良いという発想です。

「新商品は売れる」の勘違い

 ある強い思いを持ってものを創ることと、ただ商売をして儲けるのとではVISIONに大きな違いが出ます。より多く儲けることも大切なVISIONのひとつではあるのかもしれませんが、それを中核に置くと人はその為に何でもするようになります。金儲けは人間の感覚を狂わせます。

 現在の世の中はそのような「儲けるため」のもので溢れています。新商品は売れる、という勘違いの発想から次から次へと新しいものを開発・発売し、競合他社のみならず自社製品さえあっという間にゴミになっていくのです。その結果、個々の商品には輝きがなくなり、人々の感動は薄れ、感覚の麻痺した消費者はさらなる刺激を追い求めるようになります。その欲求が「他とは違った斬新なデザインをお願いします」という社長の言葉につながっていくのです。資本主義・消費社会も限界です。

 つみあげてきた過去の継承など全く意識されることもなく、自ら創ったものさえ端から否定していく企業の習性。「よろしくない社会」は「よろしくない企業」を生み、「よろしくない企業」は「よろしくない社会」を生んでしまいます。

 「自分たちは何をやる為に存在しているのか?」

 多くの企業の創業者は必ず個性豊かな、強いVISIONを掲げていたはずです。スタートした時には「儲ける」以外に大きな目標があったのです。そのほとんどは時間の経過とともに風化してしまっているようですが、今一度思い出してみるべきなのはこの、企業が本来持っていたはずの大きなVISIONだと思います。

自分たちが乗りたいクルマを創るアウディ

 我々クリエイターはクライアントに対し、ものを「創る」うえでのVISIONを商品のデザイン以上に提供する必要があります。大きなVISIONを伴わない提案は、毎回バラバラの商品をマーケットに出すこととなり、それが仮に単体としてヒットしたとしても長い目で見ればクライアントおよびマーケット全体を弱体化することになってしまいます。

 ドイツ・アウディでデザインをしていた当時、社長や役員そしてデザイン部長から「売れるデザインをつくれ」と言われたことは一度もありませんでした。ドイツはサービス精神の少ない国です。もちろんカスタマーを除外したマーケティングはありえませんが、それでも日本のように「お客様は神様です」的なサービスはありません。

 お客様を考えないということではなく、それ以上に自分たちの意志を尊重し創造活動をしているのです。アウディではそのドイツ気質もあり、お客様の為にクルマをつくるというよりは自分たちが乗りたいクルマを創造することが第一の使命でした。それは見えないユーザーの為のデザインではなく、アウディとして、またアウディの従業員として欲しいクルマをつくるという極めて純粋なものであったように思います。嘘や媚びの無い厳しさと同時に、彼らは自身の強い思いや哲学を製品の中に入れ込んでいくのです。

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