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炭素繊維でクルマは30%も軽くなる

EVの弱点「電池の持ち」を大きく改善する可能性

2010年11月19日(金)

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 現在、2008年度~2012年度の5カ年計画で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の産学連携プロジェクト「炭素繊維複合材料で目指す低エネルギー消費・循環型社会」が進行中だ。

 このプロジェクトでは、地球温暖化対策の観点から、自動車の車体用に、炭素繊維を使った新材料の研究開発に取り組んでいる。参画しているのは、アドバイザリーボードを含め、東レや三菱レーヨン、東洋紡、東京大学、東北大学、京都工芸繊維大学など11つの企業と大学だ。従来の鉄をこの新材料に置き換えることで、車体の30%軽量化を目指す。

 「電気自動車(EV)と炭素繊維がタッグを組めば、日本の自動車産業は鬼に金棒だ」。こう語るのは、東京大学工学系研究科の髙橋淳教授である。

東京大学工学系研究科システム創成学専攻の髙橋淳教授

 現在、髙橋教授は、2008~2012年度の5カ年計画で実施中の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の産学連携プロジェクト「炭素繊維複合材料で目指す低エネルギー消費・循環型社会」で、プロジェクトリーダーを務めている。

 同プロジェクトでは、地球温暖化対策の観点から、自動車の車体用に、炭素繊維を使った新材料の研究開発に取り組んでいる。参画しているのは、アドバイザリーボードを含め、東レや三菱レーヨン、東洋紡績、東京大学、東北大学、京都工芸繊維大学など11つの企業と大学で、従来の鉄をこの新材料に置き換えることで、車体の30%軽量化を目指す。

 車体の軽量化は、燃費向上の観点から非常に重要だ。

 「ガソリン車の軽量化ももちろん大切だが、日本にとってそれ以上に大きな意義を持つのが、EVやハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)の軽量化だ」。髙橋教授は語る。

 現在、EVやHEVの普及が推進されている。ここで課題となっているのが2次電池だ。今後、EVやHEVに搭載される2次電池はリチウムイオン電池が主流になっていくと予想される。しかし、リチウムは「レアメタル」に属する金属で、原料は輸入に頼っている。高価格で、EVやHEVの価格を引き上げる要因となっている。

 また、充電時間も大きな課題だ。例えば、三菱自動車の電気自動車「アイミーブ」の場合、フル充電させると、一般家庭用の電源で8時間以上かかってしまう。

 しかし、車体を軽量化して燃費を向上させれば、電池も小型化してEVやHEVの価格を下げることができ、普及への弾みがつく。中国への依存度も低減でき、充電時間も短縮できる。2次電池に関する課題の多くが解決する。

 「車体の軽量化を実現できるのは、日本が圧倒的な国際競争力を誇る炭素繊維以外にない」と髙橋教授は力強く語る。

大量生産に向かなかった従来の複合材料

 炭素繊維は約50年に日本人によって発明された素材だ。最大の魅力は、軽さと高い強度を兼ね備えている点にある。鉄の4分の1の重量しかないにも関わらず、強さは鉄の10倍。しかも、錆びない。

 そのため、燃費向上を目的に、炭素繊維をプラスチック樹脂で固めた「炭素繊維複合材料(CFRP=carbon fiber reinforced plastics)」が最新航空機「ボーイング787」の機体に採用されるなど、低炭素社会を実現する上での重要な切り札の1つとして、世界の注目を集めている。

 現在、炭素繊維は、世界シェアの約7割を東レ(34%)、東邦テナックスグループ(19%)、三菱レイヨングループ(16%)が占めており、国際競争力において日本が最も強い産業分野の1つだ。

 一口に炭素繊維と言っても品質や用途は様々で、特に、ボーイング787に採用された炭素繊維は、東レが40年以上の歳月をかけて研究開発に取り組んできた汗と涙の結晶だ。

 「そのため、米国や中国で炭素繊維の開発に取り組み始めている企業も出てきているものの、他国が品質面でそう簡単に追いつけるとは思えない」と、髙橋教授は強い自信を見せる。

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「炭素繊維でクルマは30%も軽くなる」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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