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中間選挙中からくすぶり続けた茶会の「黄禍論」

茶会の反中国感情は米国政治にどう反映されるのか

2010年11月17日(水)

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テレビ政治広告「The Chinese Professor 」のインパクト

 外交問題はいっさいアジェンダにならなかったとされる米中間選挙。確かに選挙の争点は、オバマ政権の財政拡大政策の是非を問うものだった。が、その延長線上には「中国の影」が見え隠れしていた。

 今回の選挙で、上院は11勝5敗、下院には25人の候補を送り込んだ草の根保守、「ティーパーティ(茶会)」運動には、「反中国」の意思表示が顕著だった。

 「The Chinese Professor」と題する60秒のテレビ政治広告が流れたのは中間選挙終盤の10月下旬。舞台は2030年の北京の大学の大講堂らしき場所。初老の中国人教授の講義だ。ギリシャ、ローマ帝国の滅亡を説き、「やがてアメリカ合衆国なる帝国も滅びる」と断言。

 その理由として、「医療保険制度改革、破産会社へのベイルアウト(救済策)、膨張し続ける累積赤字。その尻拭いをしているのはわが中国だ。アメリカ人はその借金の返済のためにあくせく働く。そうだ。アメリカ人はわれわれ中国人のために働く」と言い切る。

 それまで静かに講義を聞いていた中国人(らしき)学生たちが誇らしげに大笑いして映像は消える。

 支持政党はどこなのか、特定の候補者の名前は一切出てこない。が、未曾有の借金を積み上げるオバマ財政拡大政策に対する痛烈な批判であることはすぐ分かる。最初から最後まで中国人(らしきアジア人)しか出てこない。流れるのは北京語だけ(英語のテロップが入る)。米国人ならムラムラと「反中国感情」がこみ上げてくる。

 スポンサーは、「Citizens Against Government Waste」(CAGW=政府の無駄使いに反対する市民連合)。

 表向き「超党派非営利民間組織」と銘打っているが、J・P・グレースという化学製品メーカーの「財政規律主義者」の社長が1984年設立した団体だ。一時期、タバコ産業から活動資金を得ていると報じられたことがある。「茶会」のサイト、Tea Party Accessにリンクをはってあるところを見ると、「影の茶会系団体」と見ていい。

 流れていたのはケーブルテレビの「ヒストリー・チャンネル」と「A&E」だけだったが、直ちに「ユーチューブ」がピックアップ。あれよあれよと言う間に全米、全世界に流れた。(YouTube.comで今も閲覧できる)

 ワシントンの中国大使館は、ただちに異例のコメントを出し、「自国の経済不振を中国のせいにするとは、卑劣極まりない」と反論した。

一般大衆にもともと広がっていた「不況は中国のせい」という論理

 日本でもお馴染みの米ジャーナリスト、ジェームズ・ファローズは、この中国人教授を使ったオバマ政治を批判するテレビ広告を「歴史に残る傑作だ」と褒めた。「米国経済」を憂う、その延長線上に「中国」を置いた構図が抜群なのだ。

 既に「中国」の影が米国人の日常生活に忍び込んでいる。一般の米国人はそのことを感じ取っている。今の状態が続けば、20年後にはどうなるか。それを一般大衆にさりげなく伝えることでオバマ政権にイエローカードを突きつけたのである。

コメント2件コメント/レビュー

実際にビデオも見ましたが、それ以上に多かったのは、パロディ版。富裕層に対する草の根反感は高いのだなと痛感しました。それにしても、近代まれに見る社会的にもインパクトを与える大成功例のCM。こういう制作現場が腐っていない事を知り、内容の整合性はともあれ嬉しく思います。それはともあれ、対米債券についてですが、日本も対米債券を持っていますが、踏み倒されるだろうという予測をたてている段階では在ります。中国は、アメリカが債券を踏み倒しというか延期を申し出た時、どういう対応を取るのかがとっても見物だなと対岸の火事を見る気分で興味津々です。誰か教えて!(2010/11/18)

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「中間選挙中からくすぶり続けた茶会の「黄禍論」」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

実際にビデオも見ましたが、それ以上に多かったのは、パロディ版。富裕層に対する草の根反感は高いのだなと痛感しました。それにしても、近代まれに見る社会的にもインパクトを与える大成功例のCM。こういう制作現場が腐っていない事を知り、内容の整合性はともあれ嬉しく思います。それはともあれ、対米債券についてですが、日本も対米債券を持っていますが、踏み倒されるだろうという予測をたてている段階では在ります。中国は、アメリカが債券を踏み倒しというか延期を申し出た時、どういう対応を取るのかがとっても見物だなと対岸の火事を見る気分で興味津々です。誰か教えて!(2010/11/18)

19世紀以降米国は、中国と日本を交互攻撃してきましたが、またかってことですかね?同じ“グーグ(-)”という単語が中国人を揶揄したり、日本人を揶揄したり年代によって違ったりしたのが象徴的だと思いますが。なのに乗ぜられて、中国敵視論を感情的に語っている日本人ってバカみたい。中国を見方だといっているのではなくて、所詮米国も中国も外国なのだから、日本をよくする為に、それぞれどのように利用したらよいかと考えないと。(2010/11/17)

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三品 和広 神戸大学教授