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争点がぼやけた県知事選で、沖縄は何を訴えるのか

両候補が普天間の県外移設を訴えることの意味

  • 駒沢 敏器

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2010年11月25日(木)

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 さる11月12日、沖縄県知事選が告示された翌日に、那覇に住む友人から僕のもとへメールが届いた。受け取りようによっては、やや唐突で一方的な意思表示とも思える内容が、そこには書かれていた。よけいな語句がひとつもない、僕の携帯の画面では5行にわたる、ごく簡潔な文面だった。

「もう、これ以上の失望はしたくない。結果はどちらに出るかわからないが、沖縄県民として、民意の声を大和に届けることだけはしたい」

 どちらに出るかとは、言うまでもなく仲井真弘多氏(現職)と対立候補である伊波洋一氏(前宜野湾市長)の、どちらに軍配が上がるか、ということだ。問題の普天間飛行場を始め、東洋一の規模をもつ嘉手納基地など米軍施設の多くが集中する中部と、普天間飛行場の移設先候補として挙がっている辺野古(名護市)を擁する北部では、伊波氏が一歩リードしていると伝えられる。基地と直接的な関わりを持たない那覇市を始めとする南部では、仲井真氏がやや優位のようだ。趨勢としては伊波氏の猛追状態にあり、約3割の有権者が誰に投票するかを未定としていることもあって(琉球新報・沖縄テレビによる合同調査、11月15日現在)、最後まで先行きの見えない選挙戦となっている。

両候補が最低でも「県外」への普天間基地移設を唱える

 県民の約95%が「投票に必ず・たぶん行く」と答えている(同調査)ほど重要度の高い選挙であるにもかかわらず、先行きが不透明になっているのには、激戦とはまた別の要因もある。昨年までは「普天間飛行場の辺野古移設を容認する」立場にいた仲井真氏が、今年1月の名護市長選ならびに9月の名護市議選の双方において移設反対派が勝利したのを見て、にわかに「普天間飛行場は県外へ、本土に移設すべし」と論調を変えてきたからだ。宜野湾市長の現職にあった頃から「県外ではなくグアムに撤退してもらう」ことを主張していた伊波氏との争点がここでぼけてしまうことになり、有権者は「県外は大前提、あとは本土かグアムか」の、実現度が微妙な選択を迫られる状況となっている。

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 那覇在住の知人の料理研究家は、この情勢を受けて僕にこのような電話をかけてきた。

「わったーが(わたしたちの)島の運命を決するかもしれない選挙なのに、とぅいん、ちかみん、ならんさー(取ることもつかむこともしづらい)。でも、はっきりしなくさせたのは誰だかわかっているから、私は投票する人をもう決めているけどね。ブレない人じゃないと、大和にはもの申せません」

 候補者2名の争点に大きな差異が見い出しづらい一方で、今回の知事選ほど投票行動の目的がはっきりとしている選挙もまた珍しい。要件はただひとつ「普天間問題の早期解決」(同調査での回答者の割合47.9%)を問うものであり、同じく回答者の多かった「経済対策」(47.3%)と、ワンセットになっている。「基地をなくした上で、経済のオルタナティヴを実現させる」ことに、投票に行くと答えた9割を超える人たちが同意しているということだ。従来であれば、基地の受け入れによって振興策を日本政府から引き出すことの可否を問うのが、両派の争点となっていた。しかしいまや「基地はいらない」「辺野古移設絶対阻止」で、割れていた島は一致しており、その決意は冒頭のメールのように揺るぎないものとなっている。なぜこのような統一を見たのか、現職と新人が真っ向から闘うのではなく、なぜ「大和という日本」を遠く仮想敵化せざるを得なくなったのかは、今年に入ってからの鳩山前政権の動きを時系列として捉え直すとわかりやすくなる。

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