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中国が米国の量的緩和を警戒する理由

日本の轍を踏んで「バブルの罠」にはまる?

  • 竹中 正治

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2010年11月29日(月)

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 近年これほど論争の的になった金融政策はほかにないだろう。米国のFRB(連邦準備制度理事会)が11月のFOMC(連邦公開市場操作委員会)で決定した追加的な金融緩和政策(Quantitative Easing2、以下QE2と記す)を巡って、国内外の政治家から経済学者まで議論が四分五裂している。

 来年の6月まで6000億ドル(約50兆円)の米国債を連銀が新規に購入することでマネー供給を増やし、長期金利を低下させ、景気の浮揚と同時に低過ぎるインフレ率の是正を図るというのがQE2の内容だ。

 通常の金融政策で操作の対象となるフェデラルファンドレート(日本のコールレートに相当)は0~0.25%とゼロ近傍まで下げているので、もはや下げ余地がない。そこで国債を大規模購入することで長期金利を下げる、あるいは低位に安定させ、金融政策の効果を上げようということだ。日銀が2001年に採用した量的金融緩和策と同種のものである。

金融史に残る大実験かもしれない

 金融史を振り返れば、第1次世界大戦後、1920年代の主要国の金本位制復帰と、続く1930年代の金本位制離脱の時代にも、金本位制と為替相場を巡って政策議論が紛糾、四分五裂した。結局、金本位制を早期に離脱し、金融・財政政策を緩和した国の方がその後の景気回復が順調だったことが明らかになり、その認識は現代の金融政策のベースになっている。

 今回はそれに匹敵する金融政策上の実験かもしれない。基軸通貨ドルの量的金融緩和は米国と世界に何をもたらすのか──。じっくり考えてみよう。

 QE2が発表、実施されてから、この政策を巡る内外の論争はますます激しくなっている。海外では中国、ブラジル、ドイツなどの政府が「ドル安誘導だ」と批判している。米国内では共和党議員や保守派の経済学者らが反対を唱えている。リベラル派の経済学者でもコロンビア大学のジョセフ・ステグリッツ教授は反対している。反論は概ね以下の点に整理できる。

(1)経済成長促進とデフレ回避に効かない。
(2)中央銀行による大規模な国債購入はマネタイゼーション(通貨の増発)であり、インフレを高進し、財政規律を損なう。
(3)FRBのバランスシートの拡大による損失発生の可能性が高まり、(その場合は財政資金によるその穴埋めが必要になり)金融政策ではなく財政政策の領域に入っている。
(4)ドル安誘導が目的であり、通貨切下げ競争だ(海外諸国に多い反対意見)。

そもそも量的緩和に効果はあるのか?

 反対理由(1)の「デフレ回避に効かない」という部分と(2)の「インフレ高進になる」というのは矛盾しているので、そもそも同時に成り立たない。起こり得ることは、「デフレ(あるいは低過ぎるインフレ)回避に効かないのでインフレ高進にもならない」、あるいは「デフレ回避にはなるが、QE2の適切な解除が遅れた場合、その後のインフレ高進をもたらすリスクがある」のどちらかだ。

 まず実体面での景気浮揚効果はあるのだろうか。通常の金融政策では連銀が誘導操作の対象にするのは銀行間短期金利としてのフェデラルファンドレートであり、長期金利は直接の操作対象とならない。なぜなら、フェデラルファンドレートは日々のマネーマーケットでの資金需給に連銀が介入する(資金不足の時はマネーを供給し、余剰の時は吸い上げる)ことで、一定の水準に誘導できる。しかし、数兆ドルもの発行残高があり、市場参加者の将来のインフレ期待で変動する長期国債利回りは、連銀による操作可能な対象とは通常は考えられないからだ。

 しかし、今回はその長期金利の引き下げ、あるいは低位安定を意図していることになる。それが効果を発揮する仕組みをベン・バーナンキ議長は「ポートフォリオ・バランス・チャンネル」として説明している。

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