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ハイテク製品に息づくロウ

セラリカNODA(神奈川県愛川町、ロウ素材及びワックス製品の製造・販売)

2010年12月1日(水)

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化粧品から情報まで幅広いメーカーに欠かせない、創業178年のロウ精製業の老舗だ。シックハウス症の恐れがないとするワックス製品も開発した。原料の動植物の育成法にまでこだわり、経済性とエコの両立を目指す。

同社のロウ素材を使った製品群に囲まれるセラリカNODAの野田泰三社長(写真:都築雅人)

 コピー用トナー、ヘアワックス、チューインガム、CD、柏餅。これらの製品に、ある1つの共通点がお分かりになるだろうか。答えは「すべてロウが含まれている」ことだ。

 そのロウを動物や植物の原料から精製するのがセラリカNODAだ。創業は天保3(1832)年と老舗企業だが、同社の製品は資生堂やリコー、キヤノン、味の素といった今をときめく企業がプリンター用のトナーの主材料や化粧品、食材などの原料に使っている。

 社名にあるセラリカはスペイン語で、セラはロウ、リカは豊かなを意味する。その名の通り、同社の製品は豊かな自然の恵みを原料にしている。例えば、ミツバチから採取されるミツロウ、南米のカルナウバヤシからのカルナウバロウ、砂漠地帯に生育するタカトウダイ草からのキャンデリラロウなど、多岐にわたる。

整髪料から情報産業へ

 その中で創業期からずっと同社の事業を支えてきたのは、ハゼの木の実から取れる整髪料向けの木ロウだ。日本髪や大相撲の力士がまげを結うビン付け油やロウソク向けに使われてきた。時代とともに整髪料の主流はポマードへと移ったが、こちらも主成分が木ロウだったため事業は安定していた。

 だが、1960年代に入ると状況が一変する。ヘアトニックやヘアリキッドといった液状整髪料が主流になり、同社の経営基盤が崩れたのだ。

 野田泰三社長の父親である先々代社長は、74年に新規需要開拓を目指し台湾に工場を作った矢先に急逝する。その当時、野田社長は強い危機意識を持った。「昔は良かった」という空気が蔓延し、需要は細る中で、新たな収益源を生み出す気概に欠けていた。

 広島大学で情報行動科学を学んだ野田社長は、情報産業の成長を確信していた。同分野での新規需要が開拓できないかと、一面識もなかったキヤノンとリコーに飛び込み営業をかけたという。コピー機のトナーとして使えないかと考えたのだ。

 当時、コピー機は米ゼロックス全盛の時代。キヤノンもリコーも、ゼロックスにほとんどの特許を抑えられ、製品開発に苦労していた。そうした状況もあって、中小企業の突然の売り込みにも耳を傾けた。

 実験の結果、ロウの有用性が証明され、数年後にはトナーの重量比で4割を占める主要部材として採用された。これを機に、同社の経営は再び上昇気流に乗ることになる。

 藤沢周平の絶筆『漆の実のみのる国』には、上杉鷹山が米沢藩改革でロウを使った産業振興で、100万本の漆を植林したことが記されている。野田社長が目指す経営も、「ロウ産業で地域経済を活性化する」。それはセラリカNODAの原点でもある。

 同社のルーツは野田家の8代目、野田常太郎が有馬藩の命で木ロウ作りを始めたこと。天保の大飢饉に見舞われた頃に、藩財政を支えるため、常太郎は野田製蝋を興した。

 社会性のある企業として野田社長が現在、目指しているのがロウ作りを生かした自然保護と経済振興の両立だ。先進国が環境保護で開発途上国に植林しても、現地の人は貧しさから生活費のためにすぐに切り倒してしまうのが実情だ。

 長く育てるほど、生活が安定する仕組みを作れば、すぐに伐採されずに済む。そのモデルを根づかせるため、セラリカNODAでは、社員がアジアや北南米などに出向き、原料となる植物などの育成方法や品質管理などを指導する。そこには、野田社長の姿もある。

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「ハイテク製品に息づくロウ」の著者

広岡 延隆

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者

日経コンピュータ編集部、日本経済新聞産業部出向を経て2010年4月から日経ビジネス編集部。現在は自動車など製造業を担当している。これまでIT、電機、音楽・ゲーム、自動車、製薬産業などを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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