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「手のひらスパコン」が見えてきた

「微細コイル」の無線通信で消費電力が1000分の1に

2010年12月3日(金)

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 情報通信社会が高度化する中、デジタルデータの処理量や通信量、保存量が増加の一途をたどっている。それに伴い、情報通信機器の消費電力量が急増。地球環境問題の一因として重大な課題となっている。

 こうした状況を背景に、情報システムの超低消費電力化を実現する様々な技術革新が始まっている。その中で、システムLSI(集積回路)内のチップとチップの間のデータ通信にかかる消費電力を従来の約1000分の1まで減らすことに成功したのが、慶應義塾大学理工学部電子工学科の黒田忠広教授のチームである。

 ハイビジョン映像や3D映像の普及が加速している。コンピューターがさらに進化し、映像コンテンツの臨場感が増せば、近い将来、我々は自宅にいながらにして、仮想空間を使って手軽に世界一周旅行を楽しめるようになるかも知れない。

 しかし、その前に解決すべき大きな問題がある。情報通信機器の消費電力量の低減だ。情報通信社会が高度化し、デジタルデータの処理量や通信量、保存量が急増する中、情報通信機器の消費電力量もうなぎ登り。地球環境問題の一因として重大な課題となってきているのだ。

調理用ホットプレートの約10倍の電力密度

 このような社会的背景を受け、科学技術振興機構(JST)では、2005年10月~2011年3月の期間で、「情報システムの超低消費電力化を目指した技術革新と統合化技術」という分野の研究が進行中だ。総括するキヤノンの南谷崇顧問を中心に、情報システムのさまざまな階層をカバーする12の研究チームを編成。各チームが各階層で、消費電力を100分の1から1000分の1にする超低消費電力技術の確立を目指し、研究開発に取り組んでいる。

慶應義塾大学理工学部電子工学科の黒田忠広教授

 その中に、「システムLSI(集積回路)の中におけるデータのやりとり」という限られた分野ではあるが、「消費電力量1000分の1」という目標を達成した研究チームがある。慶應義塾大学理工学部電子工学科の黒田忠広教授を中心とするチームである。

 ハイビジョン映像のような大容量のデジタルデータを処理できるようになったのは、情報システムの基盤技術であるシステムLSIが高性能化しているからだ。システムLSIは、半導体チップのトランジスタの集積密度を上げていくことで高性能化している。今や1つのチップには、何十億から何百億個のトランジスタが集積されている。

 しかし、トランジスタの高集積密度化に伴い急増しているものがある。システムLSIの消費電力量だ。

 例えば、現在、システムLSIに搭載されているマイクロプロセッサーのチップの最大消費電力は1センチメートル四方あたり100ワット。これは、調理用ホットプレートの約10倍の電力密度に匹敵する。そのため、システムLSIの冷却が追いつかなくなってきている。

 チップの発熱量の増大は、地球温暖化の一因になるだけでなく、システムLSIの性能低下を引き起こす。システムLSIの消費電力量の低減は、地球温暖化対策と、システムLSIの性能向上の両面で、重要性を増してきているのだ。

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「「手のひらスパコン」が見えてきた」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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