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武器輸出三原則の見直し「先送り」は日本の安全保障に禍根を残す

インドとの協力を初めて明記

2010年12月24日(金)

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 菅直人内閣が12月17日、新防衛大綱を閣議決定した。日本の安全保障政策の中期(5~10年)の指針である。

 このコラムでは、外交官や自衛隊のOB、国際政治学者などの専門家に新大綱を評価していただく。日本を取り巻く安全保障環境にかんがみて、新大綱は適切な指針なのか? どこが優れているのか? 何が課題なのか?

 専門家らは既に、「あるべき防衛大綱」の「私案」を明らかにしている。特集「私が考える新防衛大綱」も併せてお読みください。

 第2回の著者は、潮 匡人氏。

 政府は2010年12月17日の安全保障会議と閣議で、新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)と中期防衛力整備計画(中期防、2011~15年度)を決定した。マスコミ報道ではクローズアップされなかったポイントをいくつか紹介しよう。

 まず、新大綱は「中国・インド・ロシア等の国力の増大ともあいまって、米国の影響力が相対的に変化しつつあり、グローバルなパワーバランスに変化が生じている」と指摘した。前大綱では「唯一の超大国である米国」と明記していた。米国に対する認識の変化は注目すべき、隠れたポイントの一つであろう。

 同様に、新大綱は「アジア太平洋地域における協力」として「韓国及びオーストラリアとは、二国間及び米国を含めた多国間での協力を強化する。そして、伝統的パートナーであるASEAN諸国との安全保障協力を維持・強化していく。また、アフリカ、中東から東アジアに至る海上交通の安全確保等に共通の利害を有するインドを始めとする関係各国との協力を強化する」と明記した。かかる脈絡の中で「インド」の国名を明記したのも今回が初めてである。

 新大綱は以下の「留意事項」も示す。「この大綱に定める防衛力の在り方は、おおむね10年後までを念頭に置き、防衛力の変革を図るものであるが、情勢に重要な変化が生じた場合には、その時点における安全保障環境、技術水準の動向等を勘案し検討を行い、必要な修正を行う」。

 他方、前大綱はこう書いていた。「この大綱に定める防衛力の在り方は、おおむね10年後までを念頭においたものであるが、5年後又は情勢に重要な変化が生じた場合には、その時点における安全保障環境、技術水準の動向等を勘案し検討を行い、必要な修正を行う」。

 一見、似ているが、よく読むと、新大綱には「5年後」の修正の字句が消えていることが分かる。今後10年間は見直さない姿勢のようにも見えるが、字句通りに受け止めれば、「情勢に重要な変化が生じた場合には」、たとえ5年以内であろうと「必要な修正を行う」姿勢とも読める。仮に近い将来、政界再編や政権交代が起きれば、そのとき、新政権が大綱を見直す根拠となり得よう。

日本版NSCの設置を明記

 また、新大綱は「安全保障会議を含む、安全保障に関する内閣の組織・機能・体制等を検証した上で、首相官邸に国家安全保障に関し関係閣僚間の政策調整と内閣総理大臣への助言等を行う組織を設置する」とも明記した。

 組織の名称は明示されていないが、かつて安倍晋三内閣が検討を進めた「日本版NSC(国家安全保障会議)」を念頭に置いたものであろう。いわゆる霞が関文学の常識において、「設置する」と明記したことの意味は重い。菅直人内閣は先日、防衛省から首相秘書官を初めて起用した。ともに安全保障に対する前向きな姿勢として評価したい。

基盤的防衛力整備構想から脱却

 他方で、新大綱が残した課題も大きい。

 昨年、鳩山由紀夫内閣は「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」を設置。懇談会は今年8月27日に「新たな時代における日本の安全保障と防衛力の将来構想―『平和創造国家』を目指して」と題した報告書を菅首相に提出した。

 先般、当サイトの特集「私が考える防衛大綱」の拙稿で指摘したように、この報告書は「基盤的防衛力構想」が「有効性を失った」と明言した上で、同構想からの「脱却」を明記したことで注目を浴びた。

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