• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

新防衛大綱はパンドラの箱を開けた

日本は今後3つの問題に悩む

  • 天木 直人

バックナンバー

2010年12月27日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 菅直人内閣が12月17日、新防衛大綱を閣議決定した。日本の安全保障政策の中期(5~10年)の指針である。

 このコラムでは、外交官や自衛隊のOB、国際政治学者などの専門家に新大綱を評価していただく。日本を取り巻く安全保障環境にかんがみて、新大綱は適切な指針なのか? どこが優れているのか? 何が課題なのか?

 専門家らは既に、「あるべき防衛大綱」の「私案」を明らかにしている。特集「私が考える新防衛大綱」も併せてお読みください。

 第3回の著者は、元駐レバノン大使で外交評論家の天木直人氏。

政治主導も情報公開もなかった

 一国の国防計画がこれほど不透明な形で作られた事は、およそこれまでの防衛政策の歴史の中でなかったのではないかと思う。新防衛計画の大綱の策定が、政治主導と情報公開を二大看板とする民主党政権下で行なわれたことは、なんとも皮肉なことである。

 そもそも今回で4回目になる新防衛大綱は自民党政権下でつくられる予定であった。ところが2009年9月の政権交代により、その課題は民主党に引き継がれた。

 しかし鳩山民主党政権は政治献金問題と普天間基地問題で迷走した末、新防衛大綱の策定を菅民主党政権に委ねざるを得なかった。その菅民主党政権は小沢問題と政権維持で頭が一杯で、とても防衛政策を考える余裕はなかった。

 だが、これ以上、新防衛大綱の作成作業を遅らせるわけにはいかない。鳩山政権下で設置された有識者懇談会にすべてを委ね、その報告書を基に作成を急いだのである。

 およそ首相の諮問機関である有識者懇談会などが作成する報告書は、実質的に官僚がその内容をお膳立てすることになっている。そして官僚のつくるあらゆる政策文書は、その有権的解釈を官僚が独占する。官僚が自由裁量によって運用する。

 今回の新防衛大綱もまさにそれである。

 だから、新防衛計画大綱の正しい評価など、「実は誰にもできない」と言ってよい。

分かれる評価

 実際のところ、新防衛大綱が閣議決定され、公表された翌日(12月18日)の各紙の社説や論説の評価は分かれている。

 例えば朝日新聞や東京新聞、毎日新聞が、それぞれ「新たな抑制の枠組みを示せ」、「軍拡の口実を与えるな」、「『対中』軍事だけでなく」、といった見出しを付けて警戒的に評価しているのに対して、読売新聞は「『日米深化』に踏み込めず」という見出しでこの大綱は物足りないと言っている。

 さらに産経新聞は「日本版NSCを評価する」という見出しの下に、安保政策に関する首相官邸の機能強化という一部を取り上げて評価をするが、その一方で、集団的自衛権や武器輸出三原則の見直しに踏み込むことができなかったことを嘆く。

 有識者の評価に至ってはさらに大きく分かれる。12月18日の各紙の紙面に登場する学者、評論家、軍事専門家の言葉は、否定的な評価から肯定的な評価まで、およそ多様な評価が見られた。

 すなわち、「タカ派的な新防衛大綱で、民主党政権の安全保障に対する基本姿勢を自己否定する内容」(毎日新聞、前田哲男軍事ジャーナリスト)から始まって、「自公政権時代と内容はほとんど同じで(中略)安全保障の姿や戦略が見えず、官僚的作文だ」(朝日新聞、柳沢協二前内閣官房副長官補)。

 「国際情勢の変化に応じ(中略)効率的な形で防衛力を構成しようというのは一歩前進だ(中略)ただ(中略)防衛力だけでなく外交や経済、援助などを含めた『安全保障大綱』を策定するべきだ」(朝日新聞、田中均・日本総研国際戦略研究所理事長)。「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しい状況にある中、より効率的・効果的な大綱が策定されたと思う」(毎日新聞、森勉元陸上幕僚長)。

 「基盤的防衛力から(動的防衛力へ)の転換は実現が10年遅い。冷戦終了後すぐにすべきだった」。「武器輸出三原則の見直しを明記できなかったのは議論が後退した印象(中略)日米同盟深化の協議にもマイナスの影響を与える」(日経新聞、西原正平和・安全保障研究所理事長)など。

コメント0

「採点! 新防衛大網~これで日本を守れるか?」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授