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投資ファンドは有害なのか?

すべて良いとは言えないが、日本経済に大きく貢献する

  • 荒井 裕樹

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2010年12月27日(月)

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 約8年に及ぶ訴訟弁護士としてのキャリアと約2年間の米国留学で学んだ金融工学の知識を生かし、ウォーレン・バフェットのような投資家を目指す荒井裕樹氏。近い将来、投資ファンドを一定規模の資金力を有するところまで持っていき、株主の立場から主要企業の経営改革や業界再編などを進めたいと意欲を燃やす。

 しかし、投資ファンドに対して世間が抱くイメージは決して良くない。むしろ、有害だと思っている人が多い。荒井氏は「投資ファンドはすべて良いとは言えないが、決して日本経済にとって害を及ぼす存在ではなく、日本経済の活性化や再興に大きく貢献する」と主張する。

 既に荒井氏は、投資ファンドを通じて地域経済の活性化に取り組んでいる。それを日本再興の第1歩と位置づける。

 前回は、日本の再興につながる投資ファンド、つまり主として株式や債券などを購入したり、融資したりすることを通じて投資収益を追求する基金を立ち上げることについて述べ、最初のステップとして、顧客である投資家を金融機関から守り、その信頼を得ることに注力していると説明した。

 これは、特定銘柄の株式または債券を大量に保有できる程度の資金力を有する投資ファンドにしていきたいからにほかならない。一定の規模の資金力を持つ投資ファンドは、日本経済の活性化や再興に大きく貢献できる。というのも、株主の立場から業界再編や経営改革、成長戦略の追求を促す活動を積極的に展開できるからだ。

 しかし、市場で影響力を持つ投資ファンドというと、日本では警戒感を持たれることが少なくない。その根底には、投資ファンドは資本の論理を振りかざし、経営陣や従業員と激しく対立するような敵対的買収を仕掛けたり、人員削減などの厳しい合理化や株式配当の大幅な増額などを要求したりするといったイメージがあるからだろう。

 投資ファンドの功罪は、個別具体的に論じられなければならない。だが、ここで留意すべきなのは、投資ファンドも投資収益を図る必要がある以上、むやみに企業価値を棄損しようと考える投資ファンドは、理論的には存在しにくい点である。

 もちろん、だからといって投資ファンドがすべて正しいと言うつもりはない。投資ファンドよりも投資先の企業の経営者の方が、手がけている事業に精通している場合が多い。だから経営者の方が適切な判断をできる可能性もあるし、投資ファンドの意見が必ずしも妥当でない可能性も考えられる。

投資家の考え方を熟知している投資ファンド

 もっとも、投資ファンドの方が経営者よりも金融をベースにした専門性を発揮できる。例えば、為替リスクをヘッジする取引を恒常的に行っているにもかかわらず、デリバティブ(金融派生商品)などに関する金融知識の分野において専門性が高い人材が社内にいないような企業があった場合だ。それらの取引が適正かどうかについては、投資ファンドの方が専門性を発揮できる可能性がある。

※投資ファンド

 投資ファンドには、多種多様なものがある。代表的なものとして、プライベートエクイティファンド(主に非上場企業または非上場化する企業の株式などに投資し、その企業の経営を改革して企業価値を高めた後に株式を売却することでリターンを得る基金)、ヘッジファンド(金融派生商品などを含む様々な金融商品を対象に、さまざまな手法によって運用を行ってリターンを得る基金)、アクティビストファンド(主に上場企業の一定規模以上の株式を保有したうえで、株主としてその企業の経営に深く関与し、企業価値を高めた後に株式などを売却することでリターンを得る基金)などが挙げられる。

 新株や社債を発行する際に、どのように成長戦略や資金需要を説明すれば投資家を引きつけることができるか。海外の投資家に対してどう説明したらいいか。こうした点について、投資ファンドは経営者により適切な助言をできる場合もある。投資ファンドの方が投資家の考え方を熟知しているからだ。

 要するに、ここで強調したいのは、投資ファンドと経営者や従業員との間で活発な議論があった方が、企業の成長を促進しやすく、日本経済の再興につながる、ということだ。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官