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「やってはいけない決まりです」

それは本気の欠如か、思考のこう着か

2010年12月24日(金)

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 ご相談

 仕事でいい結果を出せないまま今年も終わりました。いつまでもこの状態だとこの不景気で自分のポジションも不安です。結果が出せない場合のアドバイスを。(30代女性)

 遙から

「地域に活気がでない」「仕事そのものがない」「若者は流出するばかり」「手の打ちようがない」

 これらは、私が呼ばれたある仕事先での主催者の方々の悩みだった。私は講演などで地方に招かれると必ず自著の販売を主催者にお願いしている。理由はいくつかあるが、中でも最も大きな理由は、お客様へのサービスだ。

 お客様と直接会って短い会話をし、サインとお客様との写真撮影を本販売とセットにしている。おそらくは生涯2度会うことのない人々だ。せっかく私ごときの話を聞きに足を運んでくださったお客様に、せめて最大限触れ合って喜んでいただきたい。握手するとき、嬉しそうに微笑んでくださるお客様の表情で私はこのスタイルがイベント主催者にとっても喜んでもらえると確信してきた。

 だが今回はいつもと様子が違った。

 講演を終え、本販売の場所に行くと、お客様は違う動線でさっさと大量に会場を後にするではないか。たまたまトイレなどで迂回した客だけが「あれ!?本売ってる!」とびっくりして立ち止まった。

 そのリアクションで私は、主催者に本販売とサイン、握手、撮影会の告知をしてもらえなかったことを知った。

 その理由は、「当方の決まりで、販売等には関わってはいけないことになっていまして」ということだった。

 最初、それを言われたから、こちらのほうで遠方から本屋に会場に来てもらい、販売の手配を整えたのだった。出張した本屋は本を山積みにしたまま売れることなく、いや、売っていることを知られることもなく客が帰っていく後ろ姿を呆然と見送った。客の背中に「本売ってます」と叫んだところで覆水盆に返らずだった。

 また地方での講演があった。

 会場に到着するなりそこの担当者が私の本のタイトルを大きな文字で描いた告知用手作りポスターを私に見せた。

「これを本の前に貼れば、お客さんはどんな本が売られ、値段はいくらかをまず知ることができます。講演前に知ってもらい、講演中考えてもらい、帰る時には買う買わないの判断をしてもらえることでしょう。だからすぐこれを貼りましょう。帰る時に突然販売を知ったところで、人はすぐ決断できませんから…」
「それを作ったのはそちらの“決まり”でしょうか?それとも誰か考えてくれたのですか?」
「ポスター作りは決まりではありません。僕が考えました」
「なぜ?」
「そのほうがお客さんが喜んでくださるから」

 嘆く組織ほど、では客が喜ぶことをやっているかというとやっていないことがある。

 理由は「やってはいけない決まりだから」

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「「やってはいけない決まりです」」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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