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「悲惨な弱者」と「巨大な格差」を忘れてはいないか

来年度予算案から見えてくる本当に考えるべき課題

2010年12月28日(火)

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 12月25日、平成23年度予算案が閣議決定された。本稿では、この予算案をどう評価するかについての私の考えを述べ、その中からどのような長期的な課題が浮かび上がってくるかを考えてみたい。

 私の見るところ、今回の予算には二つの大きな課題があった。一つは、限られた財源の中から、成長と雇用につながるような政策を進めていくことであり、もう一つは、財政再建を進めることによって、将来世代への負担の先送りを避けるための道筋をつけていくことであった。

成長と雇用は生まれるのか

 まず、成長と雇用のための政策の実現のための選択と集中は十分に行われただろうか。この点については、「選択と集中を進めるための財源配分の枠組みをどう評価するか」という問題と、「政策の中身をどう評価するか」という問題がある。

 枠組みから始めよう。成長と雇用のための予算配分の仕掛けとして考えられたのが「元気な日本特別枠」である。これは各省が当初予算の1割を供出して財源とし、各省は別途この枠に対して新規施策のための予算要求を行うというものだ。

 この枠組み自体は適切なものだったと評価できる。縦割りの予算配分を打破するための工夫となっているからだ。というのは、元気な日本にするための予算は省の垣根を越えて配分に濃淡をつける必要がある。しかし、要求の段階で特定の部局に手厚い要求を認めるのは難しい(「なぜ特定の部署だけに手厚い要求を認めるのか」という文句が出るから)。しかし、この枠組みの中で省にこだわらずに要求を査定していけば、結果的に省ごとに濃淡をつけた予算が実現することになる。

 もちろん、本来は政治主導で最初から省の壁にこだわらずに必要な予算を付けていくことが理想であり、それができるのであれば、こうした枠組みは必要ない。つまりこの枠組みは「縦割りではなく」かといって「純粋の政治主導でもない」という妥協の産物だということになる。

 しかし今回の査定結果を見ると、その狙いが十分に実現しているとは言えない。なぜなら、在日米軍駐留経費負担などの、どう考えても日本を元気にするための特別の政策だとは言えないようなものが含まれているからだ。これは明らかに防衛省の作戦勝ちである。つまり、防衛省には、日本を元気にするような予算要求のタマはない。すると、単に予算を1割カットされるだけに終わってしまう。そこで「これは削られないはずだ」というタマを特別枠の要求として出してきたわけだ。いかに趣旨に反するとはいえ、政権としては在日米軍の駐留経費を削ることはできない。こうして防衛省はまんまと予算のカットを免れたわけだ。

 しかし本来の筋から言えば、在日米軍の駐留経費は、経常的な予算として計上すべきものだ。これが特別枠を「食べてしまった」ので、本来の趣旨に沿った他の経費がその分削られたことになる。こうした抜け道を防ぐような制度設計の見直しが必要である。

 中身はどうか。残念ながら成長と雇用を生み出す力が大きいとはいえない。その理由の一つは、マニフェスト実現のための経費が相当含まれていることだ。

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「「悲惨な弱者」と「巨大な格差」を忘れてはいないか」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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