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新防衛大綱の欠陥:意思決定や法整備を見落としている

日本の“防衛政策”は米国の要求に応えること

2010年12月28日(火)

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 菅直人内閣が12月17日、新防衛大綱を閣議決定した。日本の安全保障政策の中期(5~10年)の指針である。

 このコラムでは、外交官や自衛隊のOB、国際政治学者などの専門家に新大綱を評価していただく。日本を取り巻く安全保障環境にかんがみて、新大綱は適切な指針なのか? どこが優れているのか? 何が課題なのか?

 第4回の著者は、明治神宮武道場「至誠館」館長の荒谷卓氏。

 1年先送りされた防衛計画の大綱が閣議決定された。新大綱は冒頭で、大綱策定の趣旨を『我が国の安全保障および防衛力の在り方についての指針』としている。このため、まずは「安全保障における基本理念」に注目してみる。

 今回の大綱で、安全保障の目標を3つに分類したことは、日米安全保障の枠組み上は正しい区分である。つまり、日米安保条約の元々の目的であった「我が国防衛」。1997年の新ガイドライン策定時に、米側の要求に応じて取り入れた「周辺事態への対応」。そして、2005年の日米共同宣言「未来のための変革と再編」で取り入れた「国際的な安全保障環境の改善の分野における貢献」だ。これもまた、米側の要求に応じて付加した。

 第2と第3の目標は米側の要求に応じたものだけに、「我が国の安全保障における基本理念」に記載された「我が国自身の努力」という言葉の意味が、我が国の主体的な努力ではなく、米国の要求に対して我が国がなしえる努力としか見えない。

自衛隊の前身組織は、マッカーサーの指示で創設した

 そもそも、第1の目標である「我が国防衛」自体、我が国が本当に主体的な意志で取り組んでいるものなのか。「我が国自身の努力」について考えるに当たって、戦後の日本の防衛政策を振り返る必要がある。例えば、この大綱でようやく取り下げた『基盤的防衛力構想』について、これはいかなる経緯で造られたものかを知る必要がある。

 陸上自衛隊の前身である警察予備隊は、マッカーサーの指示、すなわちポツダム勅令を受け、政府が1950年に創設した。その後、沿岸警備隊、海上警備隊、航空自衛隊がこれに続いた。沿岸警備隊は、アメリカ国家安全保障会議の承認に基づき、連合国軍最高司令官の隷下に置いた。翌1956年、政府は海上保安庁の一機関として海上警備隊を創設した。同隊は、海上自衛隊の前身である。さらに政府は、米統合参謀本部の「日本の防衛に関する計画構想」などに基づく米国からの強力な要請に応えて、航空自衛隊を創設した。

米国からの経済支援を受けるため、防衛力の「形式的」な整備を始めた

 主権回復後も、日本は米国からの要請に応え続けた。米国の経済支援を得るためには、日米相互防衛協定(MSA協定)を結び、自主防衛努力義務を果たすべき必要が生じたからだ。これ以降、日本は2つの性格を持つ“我が国自身の努力”を進めていく。一つは、日本に対する米側の防衛努力要求を大幅に値切ること。もう一つは、取りあえず米側との約束を果たすために、目に見える陸海空の防衛力を形式的に整備することだ。

 MSA日米協議において出された「池田・ロバートソン会談覚書」の内容は、戦後一貫して継続している我が国の防衛政策の特徴を現している。その内容とは以下のようなものである。

(A) 日本側代表団は十分な防衛努力を完全に実現する上で次の四つの制約があることを強調した。
(イ) 法律的制約:憲法第九条の規定のほか憲法改正手続きは非常に困難なものであり、たとえ国の指導者が憲法改正の措置を採ることがよいと信じたとしても、予見し得る将来の改正は可能とはいえない。
(ロ) 政治的、社会的制約:これは憲法起草にあたって占領軍当局がとった政策に源を発する。占領八年にわたって、日本人はいかなることが起っても武器をとるべきではないとの教育を最も強く受けたのは、防衛の任に先ずつかなければならない青少年であった。
(ハ) 経済的制約:国民所得に対する防衛費の比率あるいは国民一人当りの防衛費負担額などによって他の国と比較することは、日本での生活水準がそれらの国のそれと似ている場合のみ意味がある。旧軍人や遺家族などの保護は防衛努力に先立って行われなければならぬ問題であり、これはまだ糸口についたばかりであるのにもかかわらず、大きい費用を必要としている。また日本は自然の災害に侵されやすく、今会計年度で災害によるその額はすでに千五百億円に上っている。
(ニ) 実際的制約:教育の問題、共産主義の浸透の問題などから多数の青年を短期間に補充することは不可能であるかあるいは極めて危険である(本誌注:自衛隊に相当する機関に、多くの共産主義者が入ることを懸念した)。

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