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「はやぶさ」支えた潤滑剤

川邑研究所(東京都目黒区、固体被膜潤滑剤の開発・販売)

2011年1月5日(水)

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航空宇宙や重工、自動車部品まで幅広い分野に固体被膜潤滑剤を提供する。2010年、地球へ帰還した「はやぶさ」にも使われ、日本の宇宙産業の技術力を陰で支える。異分野の研究者が知恵を出し合うことで、門外不出の技術力を身につけた。

東京・目黒の本社にて。固体被膜潤滑剤を塗布した自動車部品を持つ川邑正弘社長(写真:丸毛 透)

 日本の航空宇宙科学分野における技術の高さを世界に示した小惑星探査機「はやぶさ」。約7年、総移動距離60億kmの壮大な宇宙の旅を経て、イトカワ由来と思しき1500個の微粒子を持ち帰った不屈の魂。はやぶさの奇跡は、緻密な計算と高度な技術力、過酷な条件にも耐えられる日本のモノ作りの質の高さを世界に証明した。

 海江田万里・宇宙開発担当相と高木義明・文部科学相は2010年12月2日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のはやぶさプロジェクトチームと、それを支えた118の企業や大学などを功労者として感謝状を贈った。

NEC、IHIなどと並び表彰される

 NEC、IHIといった大手企業に並び、黒子として日本の航空宇宙技術を支えた小さな会社も表彰された。川邑研究所(東京都目黒区、川邑正広社長)だ。

 JR目黒駅から徒歩5分、住宅街の真ん中に川邑研究所はある。社員数30人の同社は、自動車のエンジンなど機械の駆動領域に使われる固体被膜潤滑剤の分野で、世界が注目する高い技術を持つ。固体被膜潤滑剤を塗布すれば、歯車やシャフトなど、金属同士がかみ合うことで生じる摩擦や摩耗を防ぐことができる。

 精密機械分野では、かつてキヤノンの一眼レフカメラのシャッター羽根に採用された。エアコンのコンプレッサーにあるシャフト向けなど、家電製品でも採用する企業が多い。「現在は中国や韓国、タイからの依頼が多い」と川邑社長は語る。

 固体被膜潤滑剤とは、グリスや油といった潤滑剤の役割を果たす塗料のようなものだ。金属などに塗布すれば、表面に潤滑作用が生まれる。固体の潤滑剤が開発されたのは、液体であるグリスが使えない場所があるからだ。

 宇宙など潤滑油が蒸発しやすい空間や、高温や超低温でグリスが機能しなくなってしまう場所だ。そこで、固体の潤滑剤が活躍する。

 固体被膜潤滑剤の原料は、鉱物のモリブデンが代表的だ。ほかにも鉱物のグラファイトや樹脂のテフロンが用いられることもある。これらの原料に、ほかの樹脂や溶剤を組み合わせて液状にして、スプレーガンで塗布して覆えば、表面に潤滑作用が生まれる。

 金属などの素材に最も活用されるのは二硫化モリブデンという化合物だ。これは積層構造で、上からの力には強く、横から力を加えるとすべり、摩擦係数が低くなる。川邑研究所の被膜潤滑剤は、過酷な場面で使用しても耐久性が高いことで知られ、航空宇宙や原子力発電所、プラントなどの重工産業でよく使われるという。

 はやぶさでは、打ち上げのロケットブースターの切り離し部分や、駆動する部分に多く使われているという。真空状態の宇宙では、グリスのような油は蒸発してしまうため、固体被膜の潤滑剤が必要不可欠だ。さらに、高温や超低温といった厳しい温度変化にも耐え得る必要がある。

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「「はやぶさ」支えた潤滑剤」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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