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日本の産業界は敗者だらけの「焼け野原」

再生のカギは「成熟産業」の業界再編

  • 荒井 裕樹

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2011年1月17日(月)

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 約8年に及ぶ訴訟弁護士としてのキャリアと約2年間の米国留学で学んだ金融工学の知識を生かし、ウォーレン・バフェットのような投資家を目指している荒井裕樹氏。近い将来、投資ファンドを一定規模の資金力を有する存在に持っていき、株主の立場で主要企業の経営改革や業界再編などを進めたいと意欲を燃やしている。

 前回は、世間が抱くイメージは決して良くない投資ファンドは「すべていいとは言えないが、決して日本経済にとって悪い存在ではなく、日本経済の活性化や再興に大きく貢献する」と説いた。既に荒井氏は、投資ファンドを通じて地域経済の活性化に取り組んでいる。

 今回は、日本の成長のためには「成熟産業」の再編が必要だと説く。例えば、電機産業という成熟産業で海外のメーカーが成長している一方で、国内電機メーカーが成長できていないのは、国内メーカーの再編が進んでいないからだと指摘する。

 ではどうしたらいいのか。荒井氏は日本の現状を分析したうえで提言する。

 日本国内の家電量販店に行くと、店舗の入口に大きく陣取るのは大型テレビと携帯電話機。テレビについては、メーカーの顔ぶれは「失われた20年」元年の1990年からほとんど変わらない。携帯電話機についても、今から10年前の2000年からさほど変わらない風景だ。

家電量販店の大型テレビ売り場(写真:新関 雅士)

 ソニー、パナソニック(旧松下電器産業)、日立製作所、東芝……。日本を代表する電機メーカーの製品が相変わらず並んでいる。日本国内にいると、この20年もの間、電機業界には何の変化も起きなかったかのようである。

 しかし世界に目を転じると、全く異なる風景が見えてくる。

 下のグラフは、韓国サムスン電子と日本を代表する家電メーカー各社の「失われた20年」における株価の推移を示したものだ。1990年1月1日の株価を100として、2010年11月30日現在の株価を米ドル換算で指数化している(なお、総合電機である東芝や日立とサムスン電子を比較する点に違和感を覚える方もいるかもしれないが、東芝も日立もいまだに家電を製造・販売している以上、比較してしかるべきだと考える)。

 一目瞭然だが、サムスン電子の株価は20年間に約22倍になった(年率で約17%上昇)。それに対して日本の電機メーカーの株価は、最高でもソニーの年率換算でわずか1.6%程度の上昇にとどまり、ソニー以外は下落している。すなわち、日本の電機メーカーは、サムスン電子に完敗している。

 日本の電機メーカーが完敗を喫している相手は、何も今をときめく新興国企業の筆頭と言えるサムスン電子だけにとどまらない。製造業が弱い、とされる米国の代表的企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)に対しても、下図の通り完敗している。

 GEが過去20年間に株価を約3倍(年率換算5.74%)まで高めたのに対して、国内の総合電機メーカーでは最も株価が上昇した三菱電機でさえ、その株価成長率は年率にしてわずか1.3%程度にすぎず、他社はいまだに20年前の株価を下回っている。

 日本の基幹産業の1つである電機業界の例から明らかなように、日本経済は、既に敗者だらけの「焼け野原」と化しているのだ。

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