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菅改造内閣、カギは「藤井官房副長官」

「常識では考えられない人事」吉と出るか凶と出るか

2011年1月18日(火)

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 1年4カ月前の鳩山内閣の誕生から3度目の内閣改造が、2011年1月14日に行われた。参議院から問責決議を受けた内閣官房長官と国土交通大臣を交代させることが主たる目的と言われているが、今回の改造の最大の鍵は、新たに就任した藤井裕久・内閣官房副長官である。

内閣のガバナンスが破綻している

 現在の民主党政権にはあまりにも多くの問題が山積しているが、1つだけ挙げるとすれば、内閣のガバナンスが破綻している点に集約されるのではないか。

 本来内閣総理大臣が示すべき政府の全体方針が明らかでない。消費税増税など総理の発言が目まぐるしく変わり重要政策に一貫性がない。そしてTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のように即断すべき政策が実現されない。

 これらと表裏一体の問題として、政権の内部から対立する意見が公然と聞こえてきて、そのような意見や政策の調整が十分になされない。総理や閣僚と部下である官僚との間に信頼関係が確立されていない。さらに尖閣列島の問題など突発的な危機に適切に対応できない。これらはすべて、内閣が正常に運営されていないことを示している。

 日本は議院内閣制を採用している。議院内閣制とは、議会を代表して総理が内閣を組織し(憲法68条)、その合議によって「行政各部を指揮監督」(憲法72条)することで、行政府を運営していく仕組みである。民間企業でいえば、総理は“CEO”であり、内閣は“取締役会議”であり、各省庁は“事業本部”であろうか。

 ところが、CEOの経営方針が見えず、重点投資(あるいは撤退)する事業分野の候補がころころ変わり、“副社長”から“平の取締役”までが勝手な発言を社員や顧客の前でするようになったら、社員は混乱するだろうし、その企業の経営は破綻していると言えよう。まともな経営者であれば、このようなことにならないよう、意思決定や執行の仕組みを確立することを最低限かつ最重要の責務と考えるはずだ。

 民主党にもそのような問題意識がなかったわけではない。2009年のマニフェストでは、「政治(家)主導」を掲げ、「5原則・5策」として大きなスペースを割いて、必ずしも選挙対策としては評価されない政府のガバナンスの仕組みの改革案を示している。そして、その中から、閣僚委員会や国家戦略局(室)の設置、事務次官会議の廃止など、いくつかは実現された。しかしながら、それらは形式的な改革に止まり、その後の実態が伴わず、またその方向性と矛盾する動きも表面化してきた。

 これについて筆者は、4カ月前の内閣改造時、「政治主導」という意味不明瞭なキャッチフレーズ自体に大きな誤解があることを、『菅政権が掲げるべきは「脱・政治主導」』というコラムにおいて指摘した。残念ながら民主党政権は、その後もこの「政治主導」を掲げ続けた。

 最近では、事業仕分けにおいて政務三役が各省庁の利益代表となって「政党優位」に逆戻りしたり、「脱官僚」の行き過ぎを悟った官房長官が、事務次官に政務三役会議に出席するよう依頼したりするなど、「政治主導」の迷走が相次ぎ、年末の予算編成では、「財務省に任せて単なる帳尻合わせにとどめるのでは、政治主導の予算とはいえない」と批判された(朝日新聞、2010年12月7日)。真に重要な「内閣主導」が実現されていないことが、内閣のガバナンスの破綻をもたらし、日本政府は機能不全に陥っているのである。

国家戦略室の機能麻痺

 「内閣主導」を実現する上で重要なのは、内閣の補佐機構である。総理がいくら優秀でも、1人で正確な情報を集めてすべての意思決定ができるはずはない。総理を個人として助ける補佐官や内閣を支える内閣官房の官僚が手足として活躍して、初めて総理は力を十二分に発揮できるのである。その意味で、政権交代によって鳴り物入りで内閣官房に新設された国家戦略室が機能していないことは、当時副総理として設置に尽力した菅総理にとっても、痛恨の極みだろう。

 国家戦略室が機能麻痺を起こしているのには、いくつかの理由がある。第1に国家戦略室は、30人程度の中堅職員からなる単なる官僚機構に過ぎず、その人事構成上、出来ることには限界があった。確かに、菅副総理自らが「官民の優秀な人材を結集」(民主党マニフェスト、2009年)した点は、既存の内閣官房の室とは異なる。

 10人少々の民間出身者は、林業の研究者や商社のビジネスマン、弁護士など多彩な顔ぶれではあるが、一国の戦略をゼロから作成しろと言われてもそれは無理な話である。実際に、2009年末からの「新成長戦略」の策定においては、省庁からの“弾出し”に頼る積み上げの手法を踏襲せざるを得なかった。

 そこはやはり、小泉内閣時代の経済財政諮問会議のように、政策課題に応じてトップレベルの有識者を揃え、彼らから斬新な改革案を出させるとともに、関係閣僚を含む議論と意思決定の過程を公開することにより、常に世論の監視と支持を確保する仕掛けが重要である。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長