• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

自治体の「宣言」にも流行がある(前編)

交通事故から核廃絶までを守備範囲にするメッセージ

2011年1月18日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 みなさんは市役所などに出かけた際、庁舎の近くに「○○市平和都市宣言」などと記された銘板や記念碑を見かけたことはないでしょうか。そのような場所には、例えばこんな文言が記してあります。「私たち市民は、平和な社会を築くことを誓い、ここに平和都市を宣言します」(兵庫県伊丹市の平和都市宣言より)。

 地方自治体やその住民は、「宣言」――交通安全宣言とか平和都市宣言、青少年健全育成宣言――を通して、交通安全や平和や青少年育成などの問題にどう取り組んでいるのかを対外的に示しています。

 逆に言うと、「宣言史」をふり返ることで、地方自治体がどのような行政課題に直面してきたのか、その変遷が見えてくるはずです。

 そこで今回は「北海道」を例に取り、地方自治体がこれまでに何を「宣言」してきたのかを探ってみることにしました。前編となる今回は、およそ1980年代までの「流行」について概観することにします。

自治体宣言の世界にも「流行」がある

 今回調査に使用したのは、北海道の公式ホームページが公開している資料「北海道市町村の各種宣言」です。この資料は道内の市町村が制定した宣言(宣言名と制定日)を一覧にまとめてあります(2010年4月1日現在)。一覧に載っている市町村数は168。宣言の総数は703件に及びます。つまり市町村あたり、平均で約4.2件の宣言を制定している計算になります。

 この703件の宣言の中には「珍しいテーマ」も登場します。例えば、冬場はオーストラリアからのスキー客で賑わう倶知安町(くっちゃんちょう)は、1972年に「スキーの町宣言」を制定しています。スポーツ振興の宣言自体は珍しいものではありません。しかしながら、このように競技を限定するような宣言は比較的珍しいものです。

 また冬季に流氷が接岸することで知られる紋別市は、1982年に「オホーツク流氷都市紋別」(北海道作成の資料にある名称は「流氷都市宣言」)を制定しています。流氷と地域との不変の結びつきを自覚しつつ、地域の発展を目指すという内容でした。同市には北海道大学や第三セクターが運営する流氷研究施設も存在しており、研究情報を発信しています。このように各市町村が独自に取り上げるテーマも存在するのです。

 とは言うものの。基本的には、地方自治体による宣言にも「流行」が存在します。つまりこの世界にも「似たような時期」に「似たようなテーマ」の宣言が立て続けに登場する傾向があるのです。そのような流行の端緒となったのは、少なくとも北海道においては「交通安全宣言」でした。

交通安全宣言(1) ~高度経済成長とともに登場~

 資料「北海道市町村の各種宣言」に記載されている宣言のうち最も古いものは、遠別町(えんべつちょう)が1955年に制定した「交通安全の町宣言」でした。そして1950年代中期から1970年代末期にかけて、北海道各地の市町村が「交通安全宣言」や「交通安全都市宣言」などを相次いで制定しました。ちなみに名称に「交通」を含む宣言は124件。これは道内にある宣言の約18%に当たります。

 遠別町が宣言を制定した1955年は、高度経済成長の初期に当たります。当時の日本では自動車の保有台数が増加。交通事故による死者の数も増えてしまいました。交通事故による死亡者数(事故後24時間以内に死亡した人の数)が初めて年間5000人を超えたのは1953年のことでした。

 このような状況を指して「交通戦争」という流行語が登場しました。「こんなに人が死んでしまうのでは、戦時と同じではないか」という意味で言われた言葉です。電通の広告景気年表(1960年)でも、交通戦争を流行語として取り上げています。

コメント0

「社会を映し出すコトバたち」のバックナンバー

一覧

「自治体の「宣言」にも流行がある(前編)」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長