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地域の格差は“縮小”すればいいというわけではない

求められる地域政策のパラダイム転換

2011年1月25日(火)

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 日本の経済社会は多くの課題に直面している。地域もまた同じである。日本の地域は、短期的にも長期的にも超長期的にも多くの課題が重層的に積み重なっており、これらが相互に絡み合いながら全体として低迷している。その解決の道は自明ではなく、各方面で試行錯誤が続けられている状況である。

 しかし、難しいからといって手をこまねいているわけにはいかない。全ての人々は日本のどこかの地域に住んでいるわけであり、地域が多くの課題を抱えているということは、そのまま日本の経済社会、人々の暮らしが多くの困難に直面していることを示しているからだ。

 この連載コラムでは、私が所属する法政大学大学院政策創造研究科(通称「地域づくり大学院」)の仲間たちを中心に、「地域を元気にしなければ日本は元気にならない」という精神でこれからの地域づくりを考えていきたい。

日本の地域が直面する諸問題を時間軸で考えると

 私は経済社会の諸問題を考える時は、時間軸に区切って問題点を整理してみることにしている。
 短期的な問題は、循環的な景気との関係で生じてくる問題である。経済の問題は、短期的な循環的部分と長期的な構造的部分に分けて考えることが多い。例えば、財政赤字は、短期的な景気の変動によって左右される。景気が悪くなると税収が落ち込む一方で、雇用対策などの歳出が増えるので、財政赤字が増えやすい。これが「循環的赤字」である。

 一方、高齢化などの長期的な要因で左右される部分もある。高齢化が進むと、年金・医療などのための歳出が増え、赤字が拡大しやすいからだ。これが「構造的赤字」である。この二つを区別することは財政再建を考える上で非常に重要である。循環的赤字は景気が良くなれば消えていくが、構造的赤字の部分は何らかの政策的措置を取らない限りいつまでも残ってしまうからだ。

 地域問題も同じである。日本全体の景気が悪くなれば、地域の経済も落ち込む。しかし、地域経済が景気だけに左右されるのであれば、話は簡単だ。景気対策さえしっかりやっていればいいからだ。では、景気さえ良くなれば日本の地域は元気になるのだろうか。

 ここで問題になるのが「格差」である。日本全体の景気が良くなっても、景気拡大の恩恵を受ける地域が一部に偏っていると、取り残される地域が出てきてしまうからだ。地域の格差の状況を見るのは、本来は地域別の一人当たり所得のばらつき度合いを見るのが最もいい。これについては「県民経済計算」というものがあって、一応計算することはできるのだが、残念ながら最新の数字が2007年度までしかない(発表は2010年6月)。そこで、便宜上、有効求人倍率を使って、都道府県別のばらつき度合いを見たのが図1である。

画像のクリックで拡大表示

 なお、ついでに言っておくと、「地方の時代」「地域主権」「地域の再生」が政策的な重要課題だと言うのであれば、まずは、この県民経済計算体系をより充実させ、もっと早く地域経済のマクロ的な実情を把握できるようにして欲しいものだ。現状の分析こそが正しい政策の基礎となるのだから。

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「地域の格差は“縮小”すればいいというわけではない」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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