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エジプト革命はアメリカのせい?

おびえるイスラエル、笑いが止まらぬイラン

2011年2月1日(火)

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古くて若い国家の革命

 古代文明発祥の地、エジプト情勢がエスカレートしている。こちら在米の各メディアは「革命」という言葉を使い始めた。そして、この革命は、ある意味、アメリカが生み出したものである。食糧価格高騰(インフレ率は3年連続2 けた)、ソーシャルメディア、ウィキリークスの3点セットが北アフリカ・中東における政権ドミノ倒しを引き起こしている。これは、中東情勢地図を、そして原油市場をさらに混迷させ、アメリカ外交やアメリカ経済に大きな打撃となりそうである。

 大統領の座に30年間君臨しているムバラク氏は、チュニジアでの政変を見て、ソーシャルメディアの威力に恐れをなした。よって、携帯電話やソーシャルネットワークを遮断し、暴力で鎮圧をする、という最悪の対応をした。

 エジプトは人口8200万人の大国。アラブ世界の中では最大で人口比ではアラブ世界の3分の1を占める。人口成長率は依然として高い。毎年、クウェート1国に匹敵する150万人もの人口が増加し、今世紀半ばには人口が1億人を超えるとみられる。その人口のうち、4割近い3200万人が18歳未満という“若い国”だ。

 若年失業率(15-24歳)は34%と高く、若者の不満は大きい。そして、若者の多くはインターネット、ソーシャルメディアに精通し、携帯電話も持つ。チュニジアの様子は、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラが発信したビデオが、フェイスブックを通じて瞬時に広まった。それを遮断したことに、若者の不満は急拡大した。

 1月24日の月曜日から始まったデモは、28日・金曜日には5倍の規模に拡大。中東における最大の同盟国での革命騒ぎにアメリカは動揺した。金曜日のオバマ大統領のブリーフィングはこのエジプト問題が独占したという。

 続いて大統領報道官が会見。「ソーシャルメディア遮断の独裁」というつながりで中国への余波&中国への対応、にまで言及する記者が続出した。米中関係を荒立てたくない報道官は「エジプトの話だけにしてくれ」と苦しい答弁をしていた。それを無視して、「この問題は中国まで及ぶと思うか」としつこく聞きまくる老練な記者たち。日本の首相官邸には居ないタイプの記者が大活躍した。

 続いて、ヒラリー・クリントン国務長官も「暴力で不満は抑えられない。民衆の声に応えるべき」とわざわざ会見しコメントを発表した。

強大な終身大統領

 エジプトの大統領制は極めて独裁的なものだ。まず事実上、任期に制限がない終身大統領制となっている。2005年の大統領選挙のときに、憲法76条が改正され、それまでの信任投票方式が改正され、複数候補が立候補できるようになった。しかし、現実には少数政党・独立系候補が立候補することは不可能に近い。

 政党系候補が立候補するためには、全議員の5%以上の支持が必要だ。このため、候補を立てられるのは事実上、与党だけである、与党が独占する議会において、野党候補が5%以上の支持を集めるのは不可能に近い。2010末の国政選挙で、選挙前に野党陣営に弾圧を加えた与党が圧勝した。野党議員は全員合わせても5%に満たない。
 
 独立候補については、上下院および地方議会から250人以上の支持(うち下院議員から65人以上)が必要だ。下院の定数444人から65人以上の支持が必要ということは、政党系候補に比して約3倍の高き障壁である。

 エジプトの大統領は、行政のトップであり、首相を含む閣僚から各県知事までの任命・罷免権を持つ。また、立法府の決定を拒否できる一方、自らの意志だけで法律と同等の拘束力を持つ大統領令を公布できる。大統領は国軍のトップでもあり、司法の判決を覆す強大な権限を有する。

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「エジプト革命はアメリカのせい?」の著者

田村 耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)

前参議院議員

早稲田大学卒業、慶応大学大学院修了(MBA取得)、米デューク大学ロースクール修了(証券規制・会社法専攻)(法学修士号取得)、エール大学大学院修了(国際経済学科及び開発経済学科)経済学修士号。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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