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ファンドという“外圧”が企業を変える

経営者の自浄作用には期待できない

  • 荒井 裕樹

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2011年2月2日(水)

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 前回は、日本が成長するためには、「成熟産業の再編」が必要だと説いた荒井裕樹氏。その背景には、韓国はもとより、米国でも、成熟産業に身を置く企業が成長しているのにもかかわらず、日本の成熟産業はほとんど成長していないという紛れもない事実がある。

 日本企業がグローバル競争で後れを取っている理由は、プレーヤーの数が多く、国内で無駄な戦いを繰り広げているからだとずばり指摘する。だから再編することによって、グローバル競争で勝ち抜ける体制にすべきだというのが荒井氏の主張だ。

 本来なら、企業経営者が自発的に判断し、再編に乗り出すことが望まれる。しかし、全く期待できないと荒井氏は断言する。そして、再編の鍵を握っているのは投資ファンドのような機関投資家だと力説する。今回、その理由を具体的に述べるとともに、新しい経営者の選出方法を披露する。

 「改革なくして成長なし」

 2001年12月に内閣府によってまとめられた年次経済財政報告の副題として登場した有名な小泉政権のスローガンだ。当時、不良債権の処理方法を巡っては金融機関の強烈な反発を招きながらも、結果的には経済界が諸手を挙げて支持した小泉政権の経済政策の核心的な理念と言っていいだろう。

「改革なくして成長なし」というスローガンを掲げて、改革路線を推進した小泉純一郎元首相

 1990年代以降の日本経済の長期停滞は、主要な日本企業の長期低迷でもあった。では、日本を代表する企業のリーダーたちは、自らの経営について構造改革を断行してきたのだろうか。日本の「失われた20年」を振り返る時、少なくとも、その成果は不十分だったと言わざるを得ない。

 「経済の自由化」の波を背景とした新興国企業および新興国市場の台頭という、日本経済を取り巻く国際的環境の激変に対して、日本の基幹産業の業界再編は遅々として進まなかった。皮肉にも、最も業界再編が進んだのは、90年代後半以降に破綻を繰り返した都市銀行(都銀)かもしれない。

 では、日本の基幹産業の業界再編も、業界の主要プレーヤーの相次ぐ破綻がなければ進まないのだろうか。いや、「焼け野原」に立つ我々に、そのような時間的余裕はないはずだ。

 本来であれば、優れた企業の経営者によるリーダーシップによって、業界再編が自然発生的に起きることが望ましい。しかし、そのような事象が自然発生しないことは既に過去20年の歴史が明確に証明していると言えるし、現在の日本の企業経営体制を前提とすると、自発的業界再編が発生しないことはむしろ必然とも言える。

自発的再編が起きない3つの理由

 なぜか。第1に、経営者の選出方法に問題がある。現在の日本企業の大半は、生え抜きの経営者だ。数十年間に及ぶ同一企業でのキャリアの集大成として経営者の地位に就いており、キャリアアップの過程で形成された貸し借りやしがらみに制約を受ける。

 そればかりでなく、前任の経営者らOBからも圧力を受ける。さらに、社内の事業部門ごとに形成された派閥の勢力均衡の制約を受けるといったように、成熟した大企業であればあるほど、企業のトップがリーダーシップを発揮しにくい環境にあると言える。

 この点、プロフェッショナルな経営者の流通市場が整備されている米国企業との格差は歴然としている。米国では、経営者が他社から引き抜かれたり、優れた経営者が転職を繰り返せたりするのだ。社内にしがらみが少なく、前経営者から口出しを受けことも少ない経営者は、リーダーシップを発揮しやすい。

 もちろん、個人のリーダーシップ発揮を期待し、尊重する文化の違いも大きい。 例えば、年功序列が重視される組織では、若い世代がリーダーシップを発揮する機会に恵まれにくかったり、そもそも期待されていなかったり、年長者に嫌われないことが出世するための処世術だったりする組織文化に陥りがちとなり、そもそも経営者の立場に就く前に、他人の目に付くような言動を避ける、すなわち、リーダーシップを発揮しないための訓練を受けている、とすら言える状態だ。

 また、減点主義で人事評価するような官僚的組織では、結局、「得点を上げる人」ではなく、「失点しない人」が最後まで生き残る可能性が高まり、リスクを取るよりリスクを回避する人物が経営陣として残る、という結果になりがちと考えられる。この点、例えば米国では、そもそも年齢による差別は違法であるから、年功序列的組織は反社会的組織にすらなってしまうし、果敢にリスクを取るアニマルスピリッツを称賛する文化が根付いており、彼我の差は大きい。

 

 日本企業にリーダーシップが不足している原因については賛否両論があるとしても、業界再編という大きな戦略的行動に出るためには、リスクを取ろうとする企業トップの強力なリーダーシップが必要であることは言うまでもないだろう。

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