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米中“無血会談”の先に日本いばら道

2大国首脳が演じた「緊張・対立含みの微妙な合意の確認」を読み解く

  • 渡部 恒雄

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2011年2月4日(金)

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 1月の胡錦濤・中国国家主席の訪米の評価はかなり難しい。しかし、今年1年の米中関係を規定する重要イベントでもあり、その意味をじっくり考えてみると、今後の日本の立ち位置を考える上でも極めて重要であることが分かる。

 端的にいえば、米中はお互いの存在をより深刻に確認しあった。日本は、今後も継続する米中の厳しい駆け引き中で、その存在感が埋没していくかもしれないということだ。

合意ができないが、継続してつき合う

 そもそも、今回の米中の「緊張・対立含みの微妙な合意の確認」というようなニュアンスを文章にするのは技術が要る。1月21日付のフィナンシャルタイムズの社説、"No casualties from US-China summit"(米中首脳会談では血は流れなかった)というは、そのあたりをうまく表現している。しかし、こういうタイトルが示されるということは、前提としては、流血(あくまでも比喩としての)の可能性もあったということになる。

 おそらく、流血があったとすれば、オバマ政権が中国に求めた2つの要求、ノーベル平和賞受賞者で人権活動家で作家・詩人の劉暁波の釈放と人民元の為替レートのより急速な引き上げについての衝突と決裂だった。しかし、米中はこの難しい2つの課題に関して衝突も妥協もせずに、「agree to disagree」(合意ができないが、継続してつき合うこと)の関係を確認した。

 米中が衝突を避けた理由は何か。それはお互いの経済利益にとって、それぞれがなくてはならないと認識しているからだろう。実際、多くの対立含みの米中の懸案の中で、ビジネス上の合意は今回の米中間では多くなされている。

 例えば、中国側は“indigenous innovation(国内のイノベーション推進)”という名の下に、国内企業が優先されてきた領域について、他国企業に門戸を開き、公平な競争をすることを示し、米国企業にとって具体的な利益が得られる形での妥協を行った。同様に、中国側が米国へのお土産として持っていったボーイング機を含む総額450億ドルの米国からの「買い物」も、それなり米中ビジネスの安定要因と作用したと考えていいだろう。

留意すべきビジネス界の影響力

 ここで留意しなくてはならないのは、米国の政治におけるビジネス界の影響力である。

 米国議会の指導層である共和党のベイナー下院議長とマコネル上院院内総務は、民主党のリード上院院内総務とともに、オバマ大統領主催の1月19日の胡主席との公式晩餐会への出席を見合わせた。その翌日には彼らは胡主席と議会で会談したが、人権問題改善を要求する厳しいリストも手渡した。

 共和党のタカ派は、中国の軍事力について警戒する人たちが多い一方、民主党リベラル派は人権問題を重視する議員が多く、労働組合から支持を受けているため、人民元や為替操作や貿易不均衡にはより厳しい目を向けている。

 これだけを見れば、議会は対中強硬派一色のように思われる。しかし、議会や政権を支持し、巨額の献金をしているビジネス界の経営者層は、ウォール街の金融業界を含め、中国とのビジネスで利益を得ている層も多い。彼らは、人権や軍事問題での懸念だけで、中国との関係を一方的に悪化させるわけにはいかないのである。人民元の急激な引き上げも、中国からの安価な製品の輸入で利益を上げているビジネスにとっては、かならずしも歓迎されるものではない。

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