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地域問題を難しくする政策の「空振り」「ただ乗り」「横取り」

それでも人口移動の促進が問題解決のカギ

2011年2月8日(火)

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 地域が短期的(景気)、長期的(構造)両面から大きな課題を抱えていることは前回みた。今回はさらに長期的な視点から日本の地域を考えてみたい。その時最大の問題になるのが人口問題である。日本の人口構造はこれから確実にかつ大きく変化する。この人口構造の変化は、日本の地域にも大きな問題を引き起こすことになる。

最大の問題は人口オーナス

 日本の人口は大きく変化するのだが、その変化は「人口減少」「少子化」「高齢化」など様々な言葉で語られている。では、何が一番問題なのだろうか。それは「人口オーナス」だというのが私の答えである。

 人口ピラミッドの形状を思い浮かべてみよう。人口が増えている時は、ピラミッドはきれいな正三角形をしている。では、人口が減り始めるとどうなるか。この三角形を維持したままで人口が減ることはありえない。人口ピラミッドの底辺がだんだん狭くなってくることによってしか人口は減らないからだ。すると、人口ピラミッドの形が変わってくる。人口が減り始めた最初は、今まで底辺だった層がだんだん上に上がってきて、働く人になっていく一方で、新しく生まれる人は減るから、人口ピラミッドが中膨れの状態になる。こうして働く人が人口に占める割合(労働参加率)が上昇すると、何もしなくても一人当たり所得は増える。これが「人口ボーナス」である。

 ところが、中膨れ層が高齢化していくと、今度は労働参加率が低下する局面が来る。すると、今度は何もしないでいると一人当たり所得は減ってしまう。これが「人口オーナス(重荷)」である。

 重要なポイントは、人口ボーナスは過渡期に1回だけ起きるものだが、人口オーナスは、人口が減る限りいつまでも続くということである。我々は、これから長く続く人口オーナスの時代を生きていかなければならないのだ。

 この人口オーナスの下では、(1)人口に占める労働力の割合が下がるので、相対的にみて労働力が不足する、(2)貯蓄主体である勤労者層が減って、貯蓄を取り崩す層である高齢者が増えるので貯蓄率が低下する、(3)勤労者が負担して、高齢者が受け取るという賦課方式の場合は、社会保障が行き詰まるといった問題が出る。私は、人口によって起きる問題は、全て人口オーナスによる問題だとさえ考えている。

地域版の人口オーナスの姿

 人口オーナスの具体的な姿を示してみよう。人口オーナスの度合いは「従属人口指数」によって示すことができる。これは「老年人口(65歳以上)」と「年少人口(14歳以下)」の合計を「生産年齢人口(15~64歳)」で除したものである。生産年齢人口が働いて経済社会を支えていると仮定すると、この比率は「働く人(支える側)」と「働かない人(支えられる側)」の比率となる。この指数が上昇する程、相対的に働く人の比率が低下することになる。もちろん、生産年齢人口が「働く人」で、それ以外は「働かない人」とするのは乱暴である。しかし、一次的な接近として計算・将来予測が容易なのでこれを使うことにする。

 国立社会保障・人口問題研究所では、日本全体および都道府県・市町村別の人口予測を発表している(日本全体は2006年、都道府県版は2007年、市町村版は2008年)。これに基づいて考えてみよう。

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「地域問題を難しくする政策の「空振り」「ただ乗り」「横取り」」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官