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米国のチャレンジ精神を支える大学教育制度

いつでも進路変更できる柔軟な学び場が人材を育てる

  • 河合 江理子

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2011年2月8日(火)

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 最近、米国に留学する学生が減少していることが話題になっている。米国留学熱が冷めている理由としては 「学生が内向きになった」「リスクをとらなくなった」から始まり、「高い学費」「治安問題」「日本での就職への不安」「語学力不足」「留学しなくても必要なことは十分に国内で学べる」などいろいろ挙げられている。

 今回はそういった議論を別にして、教育理念で世界的にもユニークだと考えられる米国のリベラルアーツ(Liberal Arts)教育についてお話したいと思っている。

 日本経済の成長ぶりに焦点を当てたベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が書かれた1980年代から90年代にかけて、逆に米国経済は停滞に苦しんでいた。だが、2000年のインターネットバブルの頃から、イノベーション、クリエイティビティーという面で大国としての地位を復活させた。その復活には大学教育制度も貢献していると考えられる。

 世界の大学ランキングで米国の大学は常に上位に入っており、米国の大学教育の評価は世界的に高い。その中で、米国における大学教育の根底ともいえるリベラルアーツ教育とは何か、実際に教育を受けた者の観点からそのメリットを紹介したい。

考えることを教え学ぶリベラルアーツとは

 残念ながら、日本ではリベラルアーツ教育はほとんど知られていない。
 先日「リベラルアーツ(Liberal Arts)って芸術学部のようなものですか」と知人に聞かれた。日本で一般教養と訳す人もいるが、かなり定義があいまいで分かりにくいかもしれない。私がハーバード大学で4年間勉強した時に奨学金を支給してくれたグルー・バンクロフト基金の事務局によると、優秀な高校生にリベラルアーツ系の米国留学に興味を持ってもらうのに苦労しているという。学費と生活費を基金が提供してくれるので、年間では最高で500万円程度の奨学金がもらえる。しかも、それには返済義務がない。4年間、総額約2000万円が支給されると恵まれた条件であるのにもかかわらず、高校側にグルー基金の理念を丁寧に説明しないと成績優秀な生徒の応募がないという状態らしい。

 「経済的ハードルが低いのになぜ優秀な学生に応募してもらうことが難しいのか」という私の質問に対して、「留学後の就職に対するリスクに対する懸念や、高校の先生や生徒とその親御さん達にリベラルアーツ・カレッジに対する理解がないことだ」いう返事をいただいた。

 この基金の奨学生が留学する先はリベラルアーツ・カレッジと呼ばれる大学が多い。こうした大学は、ハーバードやエール大学という総合大学に比較すると規模が小さく、大学のみで大学院が併設されていないところがほとんどだ。ただ教育のレベルでは遜色はないし、一流校といわれるウイリアムズ カレッジや スワスモア カレッジへの入学はハーバードなどと同じように難関である。

 では、そのリベラルアーツ・カレッジとは、どんなものなのか。誤解を恐れずに言うならば、大学における「寺小屋」のようなものではないか、と私は思っている。小人数で手厚い指導が売り物になっており、科目も文系とか理系に縛られずに生徒は授業をとることができる。

 グルー・バンクロフト基金のHPにも詳しく書かれているが、ここで引用させてもらうと、このタイプの多くのカレッジは学生数が1学年500人前後と小規模で、10~20人程度という少人数のクラス編成になっている。そのため、教授から直接授業・指導を受けられるなど、理想的な教育環境で勉強できるわけだ。そういう意味では日本からの留学生には心地よいサイズである。ハーバード大学は1学年に1600人程度であるのだから、リベラルアーツ・カレッジはこじんまりとしているのである。

 講義もユニークだ。リベラルアーツ・カレッジでは、4年間を通じて人文・社会科学、自然科学、芸術などの複数の分野から学ぶ。授業は、一方的な講義ではなく、学生参加型になっている。学生は授業の準備のために多くの読書を要求され、授業以外にも行われる活発な議論や毎週のように提出するエッセイの作成等を通して、物事を深く分析し、適確に意見を伝える能力を磨く。

 リベラルアーツ・カレッジの特色として学生寮が完備していることである。90%の学生がキャンパスで寮生活をするという環境の中で、学生はすぐれた教師や仲間に出会い、相互に刺激を受けながら自己を磨いていく。「高度に情報化・細分化し、激動する世界の中で、広い分野の基礎的知識を学ぶと同時に、新しい情報を自分の力で習得していく術を学ぶのがリベラルアーツ教育です」と、この基金のHPには説明されている。

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