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スマート概念のビフォーアフター

電話や電力網は「スマート化」でどう変化した?

2011年2月15日(火)

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 電気・電子機器の分野における有名見本市の一つに、全米家電協会(CEA)が主催する「コンシューマーエレクトロニクスショー」(CES)があります。同協会は今年のCES(2011 INTERNATIONAL CES)を1月6日から9日にかけて実施しました。

 そのCESで注目された商品分野が「スマートテレビ」と呼ばれる次世代型テレビでした。詳細は後述しますが、ネット技術と融合した双方向性の高いサービスを提供するテレビを指します。

 このように近年の技術分野では「スマート」を冠した新しい技術が頻繁に登場するようになりました。アップルのiPhoneに代表される「スマートフォン」(次世代携帯電話)もその一つですし、電力分野では「スマートグリッド」(次世代送電網)に注目が集まっています。

 さて、これらの「スマート」は、一体どのような機能を実現しているのでしょうか。例えば「スマートでないテレビ」と「スマートなテレビ」を比べると、何がどう違うのでしょうか。

 今回は、最近登場した様々な「スマート○○」を取り上げ、スマート化の前後(ビフォーアフター)でどんな技術的変化が生じたのかを探ってみることにします。そして現代の技術が、スマート化を通じて何を実現しようとしているのかも探ってみます。

smartとは「きちんとしていること」「賢いこと」

 そもそもスマート(smart)とは、どういう意味でしょうか。手元の英和辞典(リーダーズ英和辞典第2版)を見ると (1) a.明敏な b.抜け目のない、 (2) a.身なりがきちんとした b.コンピューター化した 、(3) a.きびきびした b.鋭い(以上、形容詞の語義より抜粋)などの説明が出てきます。ざっくり言えば「きちんとしている」「賢い」などの様子を表す言葉であるようです。

 余談になりますが、smartの語源をたどると「痛み」という意味にたどり着くのだそうです。日本語で「やばい」の意味が「不都合や危険」から「賞賛」の意味に変わりつつあるのと同じように、smartでも「意味の反転」が起こったのかもしれません。

 余談ついでに外来語としての「スマート」の話も少し。現在40代の筆者にとって、かつて「スマート」とは「容姿が格好いいこと」や、もっと踏み込んで言えば「痩せていること」を表す言葉でした。例えば太宰治が1944年に発表した短編「散華(さんげ)」には、すでに「スマートというものは八寸五分迄に限る」との台詞も登場します。少なくともその時代には「スマート=小柄」という和製用法が広まっていたのでしょう。

 ともあれ、近年の技術分野における「スマート」の流行のおかげで、英語のsmartが言わんとしている「賢い」という意味が日本語でも浸透しつつあります。何かと意味の混乱が多い外来語の分野で、その混乱が少しでも収束する方向にあるのは良いことかもしれません。

爆弾のスマートとは「自動制御」のこと

 本題に戻りましょう。まず技術分野のスマート語のうち、登場時期の古い「スマート爆弾」について紹介してみます。ベトナム戦争(1960年~1975年)で米軍が使用した誘導爆弾は「スマート爆弾(smart weapon)」という俗称を持っていました。

 誘導爆弾とは、航空機から投下した後、攻撃対象にむけて誘導できる爆弾のことです。推進装置は持たないものの動翼などを制御できるため、投下後の軌道をある程度修正できます。軌道修正は目標の正確な爆破や、副次的被害の防止に役立ちます。

 誘導爆弾の歴史は第二次世界大戦(1939年~1945年)の時代に始まっていました。ただ初期の誘導爆弾は、母機となる航空機から目視で無線誘導を行う方式が主流でした。目視誘導を行うには、操作者に高い技術が必要です。

 この欠点を克服するために登場したのが「スマート爆弾」でした。具体的には、レーザー誘導爆弾やテレビ誘導爆弾といった新方式による誘導爆弾を指します。いずれも軌道を自動修正する仕組みを持っていたため、ベトナム戦争で大きな戦果を上げることになりました。

 以上の流れから、誘導爆弾の「ビフォーアフター」を比較してみると、軌道制御が手動から自動に切り替わったことが分かります。つまりスマート爆弾のスマートが言わんとする賢さとは「自動制御」を指したことになります。

スマートフォンの登場

 さて近年の「スマート○○」は、コンピューターに関連した分野で登場します。代表格は「スマートフォン(smartphone)」。報道では「高機能携帯電話」とか「次世代携帯電話」などの注釈が付くこともあります。

 欧米でスマートフォンの概念が一般化したきっかけになった機種は、カナダのリサーチ・イン・モーション社が1997年から販売している「ブラックベリー」(BlackBerry)だと思われます。

 当初この機種は「電子メール機能も使えるキーボード付きのページャー(ポケットベル)」として登場しました。これが機能向上を重ねるうちに、音声通話、オフィス文書の編集や閲覧、ウェブの閲覧などの機能も備えるようになります。その結果、ビジネスパーソンを中心に絶大な人気を得たのです。

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「スマート概念のビフォーアフター」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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安形 哲夫 ジェイテクト社長