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「住宅バブルの法則」が予言する中国危機

人の強欲を抑える金利ブレーキが甘過ぎると…

  • 竹中 正治

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2011年2月21日(月)

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 2月に封切られた映画「ウォールストリート」をご覧になっただろうか。

 1987年の前作「ウォール街」では、主人公の1人、ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)が「強欲は善だ(Greed is virtue.)」と株主を扇動し、敵対的な企業買収で大儲けする。傲慢、強欲のゲッコーは実に憎々しい。しかし最後はどんでん返しが起こり、インサイダー取引違反で刑務所行きとなった。観客は「悪の栄えは続かず」のエンディングにほっと胸をなで下ろして終わった。

 今回の続編はゲッコーが長い刑期を終えて出所してくるところから始まる。時は米国が住宅バブルの頂点から金融危機に転げ落ちる局面だ。自分の経験を本に書いてベストセラーになったゲッコーは再び大学の講演会でこう言って聴衆を沸かす。 「昔、私は“強欲は善だ”と言ったが、今はこう言おう。“欲は合法だ”」

 ゲッコーは住宅ローンの証券化によってファイナンスされた住宅ブームがバブルだと喝破し、様々な証券化金融商品をこき下ろす。

不動産・住宅バブルには共通要因があった!

 前作が封切られた87年はちょうど米国も日本も不動産バブルに向かう時だった。興味深いことに不動産のような典型的な「土着性資産」でもバブルというのはグローバルな共時性があるようで、世界の複数の地域で多少異なった様相ながら“同時に”発生する。

 直近のバブルは米国の住宅市場と欧州諸国が中心だった。80年代後半から90年代初頭の不動産バブルは、日本のバブル崩壊が最も劇的で深刻だったが、やはり米国、欧州の一部でもほぼ同時期に起こった。

 そこで住宅バブルを今回起こした欧米各国のデータを調べたところ、その背後にある単純で共通の事情に気がついた。

 表1をご覧いただきたい。各国の住宅価格指数の上昇率(年率)と、10年物国債利回りから名目GDP(国内総生産)成長率を引いた値(これを「金利-名目成長率格差」と呼ぶことにしよう)を一覧にしたものだ。住宅価格の上昇率が著しかったほとんどの国で金利-名目成長率格差がマイナス(国債金利よりも名目成長率の方が高い)になっている。

画像のクリックで拡大表示

 金利-名目成長率格差の意味は後で詳しく説明するが、とりあえずは経済成長速度との比較で計った「金利水準の割安・割高の度合い」とご理解いただききたい。その値がマイナスということは、お金を借りまくって投資を拡大するほど儲かることを意味する。

 実は慶應義塾大学経済学部の竹森俊平教授が近著「中央銀行は戦う」(日本経済新聞出版社、2010年)の中でほぼ同様の指摘を「動学的非効率」の概念を絡ませながらしているのだが、ここでは小難しい経済理論は抜きでご説明しよう。

 図1は表1と内容は同じだが、横軸に金利-名目成長率格差、縦軸に住宅価格の上昇率をとり、散布図にしたものだ。各国の点の分布位置を近似する線が右肩下がりで引けることにお気づきいただきたい。つまり金利-名目成長率格差のマイナスが大きい(図の左方向)ほど住宅価格指数の上昇率が高い(図の上方向)という負の相関関係がある。

 相関係数はマイナス0.80(相関係数はマイナス1からプラス1までの変域をとり、負の相関の場合はマイナス1で最大になる)とかなり強い。図上にR2=0.6429と表示されているのは「決定係数」と呼ばれるもので、この場合確率論的には、住宅価格指数の上昇率は金利-名目成長率格差の変化で64%まで説明できてしまうことを意味している。住宅資産の変化の度合いが、単純なマクロ経済の変数1つでこれほどまで説明できてしまうのは、ちょっと驚きだ。

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