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仁義なき古書買い取り合戦

2011年2月23日(水)

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節約志向の高まり、環境意識の定着などを追い風に成長する中古品市場。新規参入者が相次ぎ競争が激化する中、焦点は「調達」に。売り場で買った瞬間に、通販の箱を開けた瞬間に、もう調達合戦は始まっている。

 書店「文教堂」溝ノ口本店の売り場には、俳優・水嶋ヒロの処女作で、ポプラ社小説大賞を受賞した話題の小説『KAGEROU』が並んでいる。

文教堂では新刊本の一部に写真のような買い取りサービスを訴求するタグをつけている(写真:スタジオキャスパー)

 定価は1470円。そこには黄色い見慣れぬタグが掲げられている(右写真)。「こちらの商品、定価の30%で買い取り致します!」。1冊購入し、数日後に同店に持ち込んだ。

 レジの男性店員に声をかける。

 「これを売りたいのですが」

 「かしこまりました。少々お待ちください」

 店員に戸惑いはない。手慣れた様子で買い取りの手続きを進めていく。

 「こちらは420円となります」

 420円は本体価格の30%に当たる金額だ。店員はページをパラパラとめくり、ざっと本の状態を確認する。身分証明書の提示と署名を求められ、最後にレジから420円分の小銭を出して手渡してくれた。

 店頭の書棚には『KAGEROU』の新刊本が並んでいる。そこからほんの数mの場所の小さなかごに、同様に買い取ったであろう中古の『KAGEROU』が販売されていた。ビニール包装され、バーコード部分にシールが張られている。価格は980円とある。新刊本のちょうど「30%引き」という価格設定、つまり420円安い。

 定価で新刊本を販売する書店が、「定価の30%」で中古本を買い取って、新刊と並べて「定価の30%引き」で販売する。この光景は、急成長する中古品販売市場を象徴する1コマでもある。

 経済産業省の「商業統計」から推計すると、中古品販売の市場規模はおよそ5000億円。節約志向や環境意識の高まりを背景に需要は伸び続け、新規参入者も相次ぐ。ところがその旺盛な需要に応える供給、つまり消費者からの「買い取り」の拡大が難しく、成長や参入の障壁になっている。

 いかに早く、大量に人気商品を買い集めるか――。数少ない急成長市場を狙って、ブックオフなどの既存勢力と文教堂などの新規参入者が激突する中、ビジネスの成否を握る要点は「調達」に絞られつつある。

一刻も早く、1円でも高く

 インターネットで中古書籍などの買い取りサービス「Vaboo」を提供するバリューブックス(長野県上田市)は、インターネットの物販サイト「アマゾン」での書籍の購買者に、「お売りください」と書かれた買い取りのチラシを同封している。

 チラシに書かれた文言は、ブックオフなどの既存の古書店チェーンに対して挑発的だ。いわく「わざわざ重い本を車に積んで近くの本屋に売りに行ったら、ご飯代にもならないような値段で買い取られてしまった。こんな経験はないでしょうか」。

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「仁義なき古書買い取り合戦」の著者

池田 信太朗

池田 信太朗(いけだ・しんたろう)

日経ビジネスオンライン編集長

2000年に日経BP入社。2006年から『日経ビジネス』記者として、主に流通業界の取材に当たる。2012年『日経ビジネスDigital』のサービスを立ち上げて初代編集長、2012年9月から香港支局特派員、2015年1月から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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