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ドラッカーで考える「地域経営」

地域ブランディングというアプローチ 【前篇】

  • 中嶋 聞多

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2011年3月8日(火)

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 最近、マスコミなどでも地域の再生や活性化がよく話題となる。裏を返せばそれだけ地域の疲弊が進んでいるということだ。環太平洋経済連携協定(TPP)など、国を開くことの是非を議論することも大切だが、まず足元を固めることのほうが先決だろう。足腰の強化を怠ったアスリートがオリンピックに出場すれば、結果はいわずもがなである。地域の活性化はまちがいなく待ったなしの最重要課題なのである。

地域活性化の理論と方法の確立が必要

 もちろん国も手をこまねいてきたわけではない。2005年10月、地域経済の活性化と地域雇用の創造を推進するために、内閣に「地域再生本部」が設置された。さらに2007年10月、地域活性化関係の4本部(都市再生本部、構造改革特別区域推進本部、地域再生本部および中心市街地活性化本部)の事務局が統合され、「地域活性化統合事務局」が新たに設置された。その目的は、地域の再生に向けた戦略を一元的に立案し、実行する体制をつくり、有機的総合的に政策を実施していくためとされている。

 こうした国の動きと連動する形で、学界にも新たな動きが広がる。2007年度、北陸科学技術大学院大学は内閣府・内閣官房とタイアップして、地域再生システム論(現在は地域活性化システム論)というユニークな授業をスタートさせた。中央官僚や専門家を講師として招き、講義とワークショップを通じて、大学院生はもとより、行政、企業、NPO関係者や地域住民が一緒になって地域の再生計画について議論するもので、新しい形の地域活性化人材の育成事業として期待されている。2008年度には参加校は10大学に拡大、やがてそれらの大学が中心となって、2008年12月には地域活性学会が発足した。現在の会員数は600名ほど、学会の名は冠しているが、産官学民の多様な人々が集まる、まさに総力戦のためのハプ組織といった様相を呈している。一方の地域活性化システム論のほうも、来年度は30数大学の参加となる予定だ。

 このような状況のなかで明らかになってきたことは、地域活性化の理論と方法の確立ならびに人材育成の必要性である。たしかに個々の成功・失敗事例の共有は重要だが、そこからさらに一歩踏み込んだ分析と理論への昇華が欠かせない。さらにこうした知識やスキルを地域住民みずからが身につけ、行動することが求められるのである。持続可能な地域の活性化は、その地域に住む人々によってしかなし得ないからである。

 それでは、地域活性化の理論ならびに方法論構築のための新たなパラダイムとなりえるものはなにか。私はその一つが「地域経営」だと考えている。

地域経営というスタンス

 地域経営ということばは以前から使われていたが、最近は「地域の経営」という意味で使用されることが多くなった。すなわち「地方行政」に対する「地域経営」である。

 「地方」ではなく「地域」と表現するのは、中央と地方、都会と田舎などという偏狭な価値観抜きに“局所的な(local)”課題に着目したいからである。グローバルに対するローカルといってもよい。もうひとつ重要なことは、ここでいう「地域」とは、まさに人々が生活を営む場であるということだ。人間が暮らさない奥山や無人島は地域経営の対象ではない。この意味での「地域」は、communityと訳されるべきだろう。

 一方、「経営」についてはどうか。英語にはadministrationというpublicとprivateを包括した上位概念もあるが、ここではドラッカーの言う意味でのmanagement と考えたい。マネジメントにおいて、なにより重要なのは顧客という視点である。主著『マネジメント』(注1)のなかでドラッカーは言う。「ビジネスの目的は、ビジネスそれ自身の外にある。すなわち、それは社会の中にあり、それゆえ企業は社会の機関なのである。ビジネスの目的の有効な定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである」と。

 さらにドラッカーは言う。「ビジネスの目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらし、他のものはすべて“コスト”である」。

 法政大学前総長の清成忠男氏は、とある講演会で、マーケティングをいつまでもカタカナ語のままにしておかず、思い切って「市場化」と訳したらどうかと述べておられた。私も賛成である。ドラッカーもいうようにマーケティングはたんなる販売のことではない。顧客のニーズに合わせ製品やサービスを市場化することなのである。イノベーションもしかり。技術革新という狭い意味ではない。「革新」もしくは中国語がそうであるように「創新」と訳せばよいのではないか。シーズを創り出すこと、顧客視点にたてば新たなニーズの創造ということになる。

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