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南米ブームは中国の搾取の構造?ご利益は?

火付け役がライバルでもある皮肉

2011年3月3日(木)

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中国がラテンアメリカを翻弄する

 米エール大学での任期を終え、米ハーバード大学に着任した。東海岸の名門大学で目立つのが、ラテンアメリカへの関心の高さだ。ここハーバードでは毎日のように、ラテンアメリカの経済や政治を研究するセミナーが開かれている。

 いくつかのセミナーに参加して明快になったのは、ラテンアメリカ経済は、“中国に翻弄”されているということ。今のラテンアメリカ経済の急成長は中国経済の高成長が支えている」のと同時に、「中国経済がラテンアメリカ経済の構造改革を邪魔している」のだ。

 ハーバードやエールには新興国の元首や閣僚だった教授がゴロゴロ居る。先日、その実務家兼学者の講演を聞いた。1つはハーバード大学ディビッドロックフェラー・ラテンアメリカ研究所主催のもの。講師はグイレルモ・ペリー 前コロンビア蔵相。

 ちなみにその前日には、前チリ蔵相のアンドレス・ヴァラスコ、ハーバード大教授の講演がケネディスクールであった。2人ともアメリカの名門大学で経済学博士号を取っている猛者。日本の大学と違い、いくら国家元首や閣僚経験者であろうと、専門の博士号を取得していないとアメリカの大学で教鞭を執ることは不可能だ。

 新興国のリーダーにはインテリが多い。日本は現場が「優秀」でリーダーが「?」な組織が多いが、新興国のリーダーは総じて高い教育を受けている。

ラテンアメリカ経済は中国に翻弄される構造

 ペリー前蔵相は、「ラテンアメリカ経済と最も相関が高いのは中国経済である」と指摘。「中国からの資本流入」と「中国への輸出」がラテンアメリカ経済のエンジンだという。

 中国からの投資は主にラテンアメリカの商品市場に向かっている。中でも、中国は世界の石油の10%、大豆の21%、銅の27%を、ラテンアメリカに投資することで押さえている。これらの商品価格の上昇がラテンアメリカブームの源だ。中国やそれに続くインドという巨大な人口を持つ国家が、これまでの常識を超えた長期の経済成長を続けていることが、ラテンアメリカの経済に好影響を与えている。

 中国の商業相は、「中国の投資額は、1975年の年2億ドルから、2006年には年720億ドルに達し、2010年には年1000億ドルになったと予想される」と公表した。

中国による莫大な資源投資

 中国が主に投資をしている相手は、資源食糧大国のブラジル、アルゼンチン、ボリビア、チリ、エクアドル、メキシコ。そして軍事的戦略性の高いパナマだ。

 南米最大の経済大国ブラジルは中国の最重要パートナー。中国は大豆輸入の大半をブラジルとの貿易で賄い、鉄鉱石や原油の共同開発も進める。ウランの産出国でもあるブラジルは、エネルギー源の多様化を目指す中国にとって貴重な相手だ。ブラジル大西洋沖で発見された海底油田の開発を進めるペトロブロス社に、今後10年間の原油供給と引き換えに、中国開発銀行が100億ドルの融資を行っている。互いに育成を強化している航空産業では、ジェット機を共同開発している。共同開発は宇宙開発計画の分野まで広がる。

 中国はアルゼンチンでも資源獲得のための投資を怠らない。アルゼンチン国内に加え、ペルーの油田も運営するプルスペクトル社やブリタス社に、中国国営石油会社が出資している。アルゼンチン国内の鉄道整備計画も中国が進める。ブラジル同様、原子力や宇宙関連の共同開発も行う。

 南米第2の天然ガス埋蔵量を誇るボリビアでは、天然ガスや鉄鉱石を開発する権利を獲得した。エクアドルに対しては、石油開発に加え、パイプライン施設と港湾の整備をセットで行っている。

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「南米ブームは中国の搾取の構造?ご利益は?」の著者

田村 耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)

前参議院議員

早稲田大学卒業、慶応大学大学院修了(MBA取得)、米デューク大学ロースクール修了(証券規制・会社法専攻)(法学修士号取得)、エール大学大学院修了(国際経済学科及び開発経済学科)経済学修士号。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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