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テレビ女性記者に対する性的暴行事件の波紋

アメリカ国際報道の最前線で何が起こっているのか

2011年3月9日(水)

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 「美しすぎる国際報道記者」、CBSテレビのララ・ローガン記者(39)がエジプトの民主化要求デモ取材の最中に暴徒に性的暴行を受けた。この事件は、米メディア界に衝撃を与えた。

 異文化、異言語の外国で取材報道するジャーナリストは、群集の中で何ら特別扱いされるわけではない。異質であるがゆえに、逆に標的になるという現実をまざまざと見せつけた。異質なものに対する心理は、群集になると何倍、何十倍にも野蛮化する。

 今ひとつの衝撃は、米メディアが今回、被害者の女性記者および所属するメディア名を実名で報道したことだ。これまでにもジャーナリストに対する性的暴行はあったが、実名での報道はほとんどなかった。

 この2つの事実が、国際報道の最前線で働くアメリカ人女性記者の在り方を考える格好の材料になっている。

国際報道を経験者の半数がセクハラ、性的暴行を受けた

 国際報道に携わる女性ジャーナリストに対する性的暴行・セクハラは今に始まったわけではない。

 2005年にInternational News Safety Institute(国際ニュース報道記者の安全のための調査研究所)が29人の国際報道経験を持つ女性ジャーナリストを対象に行った聞き取り調査では、半数以上が何らかの形でセクハラを受け、そのうち数人がSexual assaultを受けたと答えている。

 通常英語で言うSexual assaultとは、レイプ、性器・肛門・口への性器や異物の挿入、性交、接吻、身体へのタッチを意味している。ローガン記者がどのような被害に遭ったのか、具体的には明らかにされていない。豪州有力紙「ジ・オーストラリアン」によると、着ていた衣服が剥ぎ取られ、棒状のもので殴打されたという。その際に群衆は口々に「このユダヤ女」「イスラエルのスパイ女」とわめき立てていたという。ちなみに同記者はユダヤ系ではない。また医者の診断によると、身体の数カ所に噛んだ跡のようなものが残っていたともされる。

 International News Safety Instituteの聞き取り調査は、レイプされたか否かについて、女性記者たちはコメントを避けており、「たとえレイプされたとしても上司や知人には話さない」と答えている。

 筆者も、国際報道に長年携わっている米主要紙の女性記者に今回の事件についてコメントを求めた。だが、「この件について話すこと自体心地が悪く、話したくない」と一切のコメントを拒否された。

危険はどこにでも転がっている。味方が加害者に

 国際報道に携わった経験を持つ、コロンビア大学のジュディス・マトロフ教授が2007年に、『ForeignCorrespondents and Sexual Abuse』と題する論文の中で、被害の実態を明らかにしている。同大ジャーナリズム大学院が編集・発行する『コロンビア・ジャーナリズム・レビュー』(07年5月・6月号)誌上で発表したものだ。

 同教授は、女性ジャーナリストが言語、文化はもちろん、習慣も異なる国や地域に特派されれば、セクハラや性的暴行はまさに起こるべくして起こる。「職業病」(Common Occupational Hazards)のようなものだと言う。

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「テレビ女性記者に対する性的暴行事件の波紋」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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