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「うなぎの赤ちゃん」生態つかんだ!

完全養殖への道に光、受精卵を南の島で発見

2011年3月23日(水)

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 2009年5月、東京大学大気海洋研究所の塚本勝巳教授と水産総合研究センターなどの研究チームが、世界で初めて、天然のニホンウナギの受精卵の採集に成功した。これにより、河川環境の悪化や乱獲によって激減したニホンウナギの資源保全につながる可能性が高まった。

 夏のスタミナ源として土用の丑の日に食されるなど、古くから日本の食文化に深く関わってきたニホンウナギ。日本人にとって身近な存在だが、実はその生態は謎に満ちており、ほんの数年前まで産卵場所すらよく分かっていなかった。

東京大学大気海洋研究所の塚本勝巳教授

 そんなニホンウナギを長年にわたり研究し続け、その生態を次々と明らかにしていったのが、東京大学大気海洋研究所の塚本勝巳教授だ。

 今回、塚本教授は水産総合研究センターなどの研究チームと共同で、36年間追い求めてきたニホンウナギの受精卵を、世界で初めて、採集することに成功した。これにより、河川環境の悪化や乱獲によって激減してしまったニホンウナギの資源保全につながる可能性が高まった。

 「天然もの」と称されるニホンウナギが獲れるのは主に河川だ。そのため、ウナギは川魚のように思われがちだが、実は川と海を行き来する回遊魚である。日本では、11月から翌年4月にかけて、ウナギの稚魚である「シラスウナギ」が黒潮に乗って南の海からやってくる。そして、川を遡上して成魚になり、その後、産卵のため、再び大海原の“どこか”に消えていくのだ。そのため、つい最近まで孵化したての赤ちゃんウナギはおろか受精卵すら見つかっていなかったのである。

塚本教授らが世界で初めて採集したニホンウナギの卵(提供:塚本勝巳教授、以下同)

 それゆえ、現在、我々が口にするニホンウナギのほとんどが、黒潮に乗って南方からやってきたシラスウナギを、九州や四国の河口付近で捕獲し、それを養鰻場で養殖し成魚にしたものだ。つまり、「養殖モノ」とは呼ばれているものの、100%天然のシラスウナギに頼っているのである。

 しかし、ここ数年、河川環境の悪化や乱獲により、シラスウナギの漁獲量は激減。1960年代の約10分の1、1990年の約2分の1にまで落ち込んでいる。このまま何の手も打たないとすれば、近い将来、日本の食文化から「鰻の蒲焼」が消え去る可能性もある。

 そのため、水産総合研究センターが卵から成魚までを人工的に育てる「完全養殖」に挑戦していた。ようやくニホンウナギのオスの精子とメスの卵子を人工授精した受精卵から成魚を育てることに成功したものの、効率が極めて悪く、とても商用化できる段階には至っていない。

最適な成育環境やエサなどを割り出す

 特に難航しているのが、受精卵からシラスウナギに育て上げるまでの過程だ。

塚本教授が採集したプレレプトセファルス

 ウナギは、オマタジャクシがカエルになるのと同様に、「変態」する。卵から孵化したばかりの全長3~12ミリメートルのウナギは、「プレレプトセファルス」と呼ばれ、おなかの卵黄で成長する。

 その後、透明な柳の葉っぱのような形をした「レプトセファルス」と呼ばれる全長10~60ミリメートルの仔魚になる。

 さらに、孵化後、約250日経ち、全長約55ミリメートルに達したレプトセファルスは変態を開始。約20日でシラスウナギになる。シラスウナギは変態後約30日でエサを食べ始め、全長20センチメートル程度の成魚へと成長するのだ。

コメント1件コメント/レビュー

驚異の研究者魂ですね。脱帽です。(2011/03/23)

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「「うなぎの赤ちゃん」生態つかんだ!」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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驚異の研究者魂ですね。脱帽です。(2011/03/23)

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