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日本人に感動する――大災害起きても略奪はなし

隣国中国は日本の危機をどう伝えたか

2011年3月14日(月)

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 「あれ、めまいかな?」――。その瞬間、何か起きたかすぐには分からなかった。ブラインド・カーテンがわずかに揺れているのを見て、初めて地震だと分かった。「北京では地震が起きない」と言われ続けてきたので、いつの間にか自分の中で地震に対する感覚が薄れてしまっていたのだ。程なくオフィスにいる女性たちが「キャッ」と短い悲鳴を上げる。地震に慣れていない北京の人たちには、わずかな揺れでも恐怖を感じるのだろう。

 この時点では、この振動が自分に母国からやって来たものだとは想像もできなかった。微博(中国版ツイッター)上では、北京だけでなく上海などからも「自分のところも揺れた」という書き込みが次々と入る。そうこうしているうちに友人の中国人から、携帯電話にショートメッセージが入る。「日本で大地震らしいぞ。早くテレビを見ろ」

 オフィスに1台だけ置いてあるテレビには既にたくさんの人が集まっていた。中国中央電子台(CCTV)は緊急ニュースとして日本の地震を伝えていた。津波が町を飲み込んで行く様子がリアルタイムに伝わると誰もが言葉を失った。

 日本へ電話をかけてもどこにもつながらない。固定電話も携帯電話も同じだ。とりあえず電子メールは使えているようだが、いつもより時間がかかっている。11日(金)の夕方の段階で、スカイプはつながるという情報が入った。こういう危機的な状況で、電話よりもインターネットの方が通信手段として安定しているというのは驚きだった。

中国でも日本の大地震はトップニュースとして扱われている。画像は検索最大手のバイドゥ(百度)のニュース画面(2011年3月12日午前)

 ここからは中国内での報道状況を簡単にお伝えしたい。実は、日本と同じ11日(金)に中国とミャンマーの国境に近い雲南省の盈江県でマグニチュード5.4の地震が起きていた。死者は20以上と伝えられているのだから大災害に違いないが、中国のニュースサイトの扱いは日本の地震の方が圧倒的に大きい。

 明けて3月12日(土)。日本の地震に関する報道は続く。中国では4日から首都北京で1年に1度の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が開催されているが、こうした国内ニュースよりも日本の地震の方が関心は高いようだ。

 日本にある中国大使館からの情報として、東日本の16自治体には中国からの留学生が6万5000人以上いて、とりわけ甚大な被害を受けた宮城県、岩手県、福島県そして茨城県の4自治体には約3万人の中国人留学生がいることなどが伝えられた。12日の午後には新華社の記者が仙台市に入り、現地で中国人が死亡したという報告はないと報じた。

安否確認にQQが大活躍

 夕方、東京電力の福島原子力発電所で爆発事故が起きたことが伝わると報道は一気に加熱する。周辺で避難勧告が出されていることや放射能の漏洩がどこまで広がっているのか詳しく報じた。すぐ隣の国で起きた原子力発電所の事故なのだから、中国側が心配するのも無理はないだろう。

 在日中国人の安否確認に役立ったのは中国のネットサービスのようだ。テンセントQQ のIM(インスタントメッセージ)ソフト「QQ」は、今や中国人の若者であれば誰でも1つはアカウントを持っている。電話がつながりにくい状況でもネットが使える環境ならば、遠隔地に住む友人や家族とも連絡が取れる。QQを通じて日本にいる中国人の生存が次々明らかになると、「QQはもはや主流の通信手段だ」(楚天都市報)という記事も流れた。

 13日(日)の朝刊もトップニュースはいずれも日本の地震関連だ。北京の主要紙「新京報」は24ページの紙面のうち17ページが日本の地震に関するニュースで埋め尽くされていた。とりわけ福島原発の事故については、核施設の内部構造まで図解入りで報じていた。

日本の地震被害を一面トップで伝える中国の朝刊各紙

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「日本人に感動する――大災害起きても略奪はなし」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師