• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

経験はなぜ生きなかったのか

  • 細田 孝宏,吉野 次郎,加藤 修平,伊藤 正倫,山根 小雪

バックナンバー

2011年3月22日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

震災のスケールは日本企業のリスク管理の想定をはるかに上回った。全国規模の生産停止、物流網の寸断、長期化する停電…。危機対応の「書き直し」を企業に迫ることとなった。

 「いったい、いつになれば操業を再開できるのか…」

 未曾有の震災は、各産業に甚大な影響を及ぼしている。発生から4日経過した3月15日時点でも、東北地方に生産拠点を持つ企業の多くは、再建に向けた動きどころか、被害の全容把握すらできていない。過去に幾度も大きな地震に見舞われてきた日本企業は、地震を「経営上のリスク」と位置づけており、万が一の時の対応策を企業それぞれが持っていたはず、だった。

 だが、今回はその前提を明らかに上回る事態となった。

リスク分散したはずが…

 日本を代表するメーカー、トヨタ自動車。本社のある愛知県豊田市を中心とする中部地方に、グループ企業を含め、多くの製造拠点を持つ。

 かねて東海地震への備えを進めており、その1つが東北地方への生産分散だった。中部地方、九州で展開してきた工場を東北にも拡大し、国内3大拠点体制を構築してきた。

画像のクリックで拡大表示

 車体メーカーとしてはグループの関東自動車工業に加え、この1月にはセントラル自動車が東北に進出。宮城県大衡(おおひら)村で新工場を稼働させた。神奈川県相模原市にある本社も大衡村に移転する予定で、トヨタの東北重視を象徴する存在だった。2月の工場開所式では、トヨタの張富士夫会長が「東北が国内第3生産拠点としていよいよ本格的に立ち上がる。大いに期待している」と語っていた。東北ではハイブリッド車の部品も生産しており、2010年1月にはグループの電池製造会社も宮城県で生産を始めている。

 皮肉にも、その東北を襲ったのが今回の震災だった。むろんトヨタも東北への拠点分散で油断していたわけではない。地震発生後、すぐに宮崎直樹・常務役員をトップとする「全社初動本部」を立ち上げ、対応に当たった。

 同本部は2007年7月の新潟県中越沖地震でも設置され、トヨタは被災した部品メーカーの復旧支援に動いた。エンジンに欠かせないピストンリングを製造するリケンの支援にも、トヨタは約200人もの人員を派遣。わずか1週間後に生産再開にこぎ着けている。

 リケンを支援したのはトヨタだけではないが、裾野の広い自動車産業は、部品メーカーまでをも視野に入れた危機対応で、大災害が発生しても、長期の生産停止を回避してきた。

 だが、今回の震災は、過去の経験が通用するレベルをはるかに超えるものとなった。14日夜時点では大手自動車メーカーは国内すべての工場を止めた。被災地域が過去にないほど広範囲にわたり、部品の調達に支障を来したことが大きいが、それだけが理由ではない。従業員の安全確保を最優先せざるを得なくなったことに加え、次々と明らかになる壊滅的な被害を前に、操業再開を口にするのもはばかられる「空気」が広がったためだ。

 トヨタは地震発生翌日から現地に救援隊を派遣。14日には食料やおむつなど生活物資を積んだトラックや救援隊を乗せたマイクロバスなどが東北地方の拠点に到着した。ただし、同日時点ではそこまでが精いっぱい。工場の被害状況の把握にも至らなかった。

 一方、日産自動車では今年2月に大災害を念頭に置いた全社規模の訓練を実施したばかり。そのシミュレーション通り、地震発生と同時に対策本部を設置した。志賀俊之COO(最高執行責任者)はエレベーターが停止した横浜本社の21階から階段で8階まで駆け下り、生産担当の今津英敏副社長ら各担当役員が待つ対策本部に飛び込んだ。そのまま情報収集に全力を注いだものの、一部の部品メーカーとは連絡が取れない状態が続いた。

 万全を期して災害に備えていたはずの自動車メーカーですら難しい対応を余儀なくされたのだ。

 地震はエレクトロニクス産業にも深刻な打撃を与えている。

コメント0

「時事深層」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授