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復興の決め手は、危機感に裏付けられた「結束力」

我々一人ひとりの意識改革こそが最も重要

  • 荒井 裕樹

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2011年3月25日(金)

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 3月11日に発生した東日本大震災──。既存の統治システムを変革すれば日本経済を再生させることができると主張してきた荒井裕樹氏は、今回の大震災によって深刻な打撃を受けた日本の窮状を憂う。それでも荒井氏は日本の復興を信じ、力説する。復興の決め手は、危機感に裏付けられた「結束力」にあると。

 東日本大震災によって壊滅的な打撃を受け、一瞬にして街ががれきの山と化した。その衝撃的な光景に、本コラムの第4回で述べた、「焼け野原」に立つ我が国経済の姿が重なって見えた。震災後の日本経済はますます厳しい状況に追い込まれるだろう。

 東京電力の福島第1原子力発電所で起きた事故は、安全性を最大の売り文句の一つとして官民が協力体制を築き、国を挙げて世界に売り込んできた原発事業の先行きを険しくしている。同じく、同事故への対処を巡って、東電自身の危機管理の甘さもさることながら、国家的な危機に対する司令塔たるべき政府の危機対処能力に対する疑問符が国際的にもますます大きくなったように思われる。

 さらに、大規模な計画停電の実施などは、世界の都市の中で最も安定していると称賛されてきた東京のインフラシステム全体のもろさを世界にさらけ出した。今のところ、エコノミストの多数派は、日本のGDP(国内総生産)に占める東北地方の割合は4%程度とし、復興需要を含めると今回の震災が日本経済全体に与える影響は限定的との見方を示している。

 だが、大規模な停電と物流、部品調達システムの乱れによる波及効果や、復興事業の原資を調達するための国債増発、ほかの政策の中断・停滞がもたらす財政ストレスとその派生効果などを考慮すると、決して楽観視できない。

 国内における原発の新規建設や現在稼働中の原発の運営に対して、世論の反発はかなり強まるだろう。それに伴って、火力発電への大幅なシフトが起きるとなると、日本のエネルギー調達政策の大転換につながる可能性がある。世界的にエネルギー価格が高騰している傾向からすると、中長期的に日本企業のコスト構造に従来以上に大きなストレスがかかる恐れがある。

 市場に目を転じると、リーマンショックと同等の株式市場の大混乱によって、ネット系証券会社が個人投資家から信用取引などの追い証を回収できないことによる多額の引当金積み増しを迫られた。

 これは、信用取引などを行っていた個人投資家が株価の急落により追加の担保提供を迫られたが、手元の余裕資金では追加担保の全額を提供できなかったことにより、証券会社に個人投資家に対する貸し倒れ損失が生じたことを意味する。このことから、多数の個人投資家が多額の損失を抱え込んだと推定される。これは長期にわたって今後の株式市場の回復にとって障害となりそうだ。

 また、一時的に日経平均株価が8000円近くまで急落したことで、8000円付近に下落すると価値が急落するような仕組みのデリバティブ商品などを購入していた企業は、大きな損失を被った可能性がある。

 円の対米ドルレートの史上最高値更新は、輸出企業を苦しめ、国内雇用回復への障害をさらに高くしている。加えて、本コラム第2回で触れたように、2006~2007年の円安時に、輸入企業を中心とする中堅企業が、「為替リスクヘッジのため」との営業文句で金融機関から積極的に売り込まれて取り組んだ長期為替予約は、昨年来多数の企業を破綻させてしまっている。

 金融庁も全銀協もようやく重い腰を上げたところであるが、今回のさらなる円高はこの為替予約によって危機に瀕している中堅企業の財務状況をより一層厳しくしている。

 以上に例示した状況から垣間見られるように、東日本大震災は、まさに日本経済を満身創痍の状態に追い込んでしまったと言えよう。

東日本大震災が我々に突きつけているもの

 しかし、我々に打ちひしがれている余裕はない。この大惨事から日本経済を再興するために、我々が今回の大震災から学べるものはないのか。震災は我々に何を残してくれたのか。

 危機的状況が、改めて日本経済の強みを浮き彫りにした点もある。例えば、東北地方にある工場の操業停止によって、米ゼネラルモーターズ(GM)など米国の自動車メーカーが工場の操業停止に追い込まれたり、アップルの「iPad」の生産が停止する可能性が生じたりしている。こうした事象は、日本経済が生産する部品などが「代替不可能」な部品であるという、ある意味で日本が持つ技術力、競争力を証明した事例と言える。

 原発事故も、詳細な検証を待つ必要があるし、現時点では異論も多いだろうが、仮に危機を招いている原因が地震ではなく津波であったとするならば、日本の原発の耐震技術に対する信頼性自体が大きく揺らぐ事態とは言えないのではないか。

 同じインフラ事業について言えば、今回の大震災によって高架橋などの構造物や施設などでの物的被害は回避できなかったものの、新幹線が大きな人的被害を出さなかったことは、日本の新幹線の耐震性に対する信頼感が大きく毀損したとは言えないであろう。また、大規模な計画停電は継続中であるものの、今回の大震災の規模を考えれば、東京の都市機能が維持されたことは日本のインフラの堅固さを証明しているとも言える。

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